斎藤工「完全なる一目ぼれでした」“若き才能”に感銘<PFFアワード2020>
準ブランプリは寺西涼監督の「屋根裏の巳已己(みいこ)」。記憶か現実か、生と死の狭間をさまよう怪奇な物語に仕上がっている。
プレゼンターの斎藤は「映画の見方っていろいろあると思うんですけど、一目ぼれパターンか、徐々にいろんなことが自分の中で発酵していって好きになるパターンか、恋愛に近い気がしております。この作品は完全なる一目ぼれでした。
理屈が分からない何かが自分の中にこびり付いて、すぐにもう1回見たくなりました。視覚、聴覚といった感覚を支配されるというか、すごくエネルギーを感じました。
監督の中にしかない時間だったり、監督の中にしか見えない景観というのを分けていただいた。すごいフィルムメーカーがいるという出会いに感銘を受けました」と、同じクリエーターとして刺激を受けたと話した。
それを聞いた寺西は「そんなすてきなコメント、すごくうれしいです」と感謝の気持ちを伝え、「僕は監督としてギリギリスタート地点に立てたという状態なので、この先も映画を撮ろうと思っていますので、賞金の使い方も考えながら、また面白い映画を作っていきたいです」と今の心境と今後に向けての意気込みを語った。
その他、審査員特別賞は関麻衣子監督の「MOTHERS」、守田悠人監督の「頭痛が痛い」、野村陽介監督の「未亡人」の3作品が受賞。
観客賞は稲田百音の「アフタースクールデイズ」、映画ファン賞(ぴあニスト賞)はhaienaの「LUGINSKY」、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)」は千阪拓也の「こちら放送室よりトム少佐へ」がそれぞれ受賞した。
審査の発表を終え、大森は「僕は“他者と向き合っていくこと”が映画の原点にあって、そういう観点で映画を見てしまうところがあります。今回、“死”という一番大きな分からないものに関する映画が多かったですし、レベルが高かった。すごく楽しませてもらいました」と最終に残った17作品がどれもレベルが高かったと評した。