斎藤工の映画愛があふれ出るスペシャル番組がいよいよ放送! 「映画作りは自分なりの“アベンジャーズ”を作ることなんです」
映画、サブスク、Youtube…動画戦国時代の今は「いい状況」?
――コロナ禍での映画と、 日本の映画産業について
コロナ禍を経て映画における概念で一番変わったのは時間だと思っていて、僕もサブスクやYouTubeをザッピングしたりして、短く濃くというか、エスプレッソみたいに選択して、「これ薄味だからいいや」とか「長いからいいや」とか、「なんかこれよりもっと必要なものがあるんじゃないか」っていう、激戦区になってきている気がするんですよ。
クリストファー・ノーランの新作と学生映画では、(映画を見るのに)投じる時間は一緒じゃないですか。その価値をどう捉えるかっていうこととか、自分の人生の時間と映像を体験するっていう時間の折り合いのつけ方が変化している気がします。
全ての映像作品が、より厳しい中でしのぎを削る時代に突入している気がして、これは僕はいいことだと思っていて、その分クリエイティブの感覚・価値観は上がらざるをえないですよね。
映画祭に行って思いましたけど、フランスとか韓国とか、観客のIQがすごく高いんですよね。文句言いながら映画観る人がいたりとか。そういう観客の意識を、企画段階でフィルムメーカーの製作陣がより強く意識するっていうことがすごく大事で。
自分自身にも言えるんですけど、日本で映画を作る人達は企画段階で、クリエイティブファーストというよりは、特にキャスティングとかで、「この人のファンの人たちが見るだろう」という産業的な発想で、損しないプロジェクトにしている映画が多いと思っているんですね。厳しい観客を設定して始まるものでなければ、日本の映画業界の進化はないのかなと思っています。
「作品単体を厳しくジャッジしてほしい」
――今回の特集について
10月25日(日)のWOWOWの特集は、自分の時系列のようなラインナップですよね。よくWOWOWの特集を見るんですけど、 タテ軸で見る時に結構“胃もたれ”してしまうことが多くて。同じ役者さんを見続けるということがもちろん面白い見方でもあるんですけど、それにほぼ半日費やせるかという所は正直疑問に思っているところもあったので。
ただ、今回の特集は僕を見続けるものではなくて、一つ一つ“クリエイティブファースト”で作ったという自負のある作品ですし、当然僕が出ていないものもあるので、製作のプロセスを超えて、その作品単体がどれだけ見た方に対してエネルギーを持っているかを、厳しくジャッジして欲しいです。
モノの捉え方というのは、時代がざらつくとともに目線が厳しくなるので、僕の今回のラインナップはどう映るかわからないんですけど、僕の中では抽出したものではあるので。むしろ僕のことなんて興味のない人達とかに作品を見てもらって、 ディスっていただくのも大いに構わないですし。
ただ作品に関わってくれた役者さんたち、スタッフさんたち、配給や宣伝の方たちに対して、申し訳ないという気持ちはどうしてもあるので、僕が自分の作品を卑下するのはよくないですし、「1個1個自信作です」というのは胸を張って言えます。
これは僕の才能でもなんでもなくて、チーム編成のおかげです。映画を作るということは、自分なりの「アベンジャーズ」を作ることなんですよね。
時として誰かのアベンジャーズの一人になれる可能性を持っているのであれば、僕は協力させてもらうということなので。作品を見て何かを感じてもらうってことが本当にご褒美になりますので、 ご覧いただけたらうれしいです。
10月25日(日)WOWOWプライムにて放送
夜6:15~『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』
夜7:30~『バランサー』
夜7:55~『半分ノ世界』
夜8:15~『サクライロ』
夜8:50~『映画の妖精 フィルとムー』
夜9:00~「ノンフィクションW 齊藤工 DEAR FILMS…」
深夜1:15~『MANRIKI』
https://www.wowow.co.jp/special/016792