「今はすがすがしい気持ちです」塚本高史が「灰色の虹」の仕上がりに自信!
テレビ朝日系で、5月19日(土)に放送される「ドラマスペシャル 灰色の虹」で、冤罪(えんざい)によって全てを失った青年・江木雅史を演じる塚本高史にインタビューを敢行。今回演じる江木の役どころや、作品に対する思い、見どころなどを余すところなく語ってもらった。
―――本作への出演にあたっての感想をお聞かせください
実話じゃないんですけど、実話が基になったんじゃないかってくらい共感できるリアルな話。だけどここまで重い話はやったことがありませんでした。どこかに救いがあったりとか、光が見えるところが最後にでもあるような作品しかやったことがなかったので、深く考えさせられました。でも、撮影が終わって2週間くらいたちますが、本当に達成感があるし、やって良かったなと思いました。良い監督(和泉聖治氏)と良い共演者の方々に恵まれて、本当に良い作品ができたなと思ったし、最初にお話をいただいたときよりは、題材は重いんですけど今はすがすがしい気持ちです。
―――江木を演じる上で、役作りで苦労された点や工夫された点はどこですか?
どこにでもいる幸せな家族が、“冤罪”という一つのもののためにバラバラ…というか悲惨な目に遭うというのは、どこか日常的な要素もあり、“一青年”という要素もないとリアルじゃないと思ったので。役作りをしたというよりは、可もなく不可もなくと言ったら変ですが、すごく頭が良い子でもないし、不良でもないし「幸せそうな家族が…」という出だしなので、“普通の子”を演じようと思いました。現場で(伊佐山刑事役)の寺島進さんたちが、台本にない動きや迫力をつけてくれたので、感じたままにリアクションもできたし、うまく返すこともできたので。本当に現場で僕が感じたことを江木が感じて、役と共に成長していったという感じです。だからそれほど役作りはしていませんし、自然体です。
―――江木を演じていく中で、自分の性格と似ていると思うところはありましたか?
実際にやってもいない罪を被せられたときは、たぶんああいう感情になるだろうし、でも本当にあんな(劣悪な)取り調べがあるのかは分からないですけど、冤罪をかけられる人は、自分以外のみんなが助かるのなら、(取り調べが)地獄のような大変な状況だから「僕がやりました」の一言でみんなが救われるなら、やってもいないけど認めちゃおうかなとどこかで思ってしまうでしょうし…。ああいう状況になるんじゃないかなという気持ちもしましたし、それによって大切なものや家族がひどい目に遭うような状況だったら復讐(ふくしゅう)だって考えるだろうし、リアルだなと思います。僕が感じるだけではなく、見てくださる方も「こういう状況だったら同じように思うよ」って思ってくださるはずです。
―――本当に考えさせられるドラマですね。そんな中、現場の雰囲気はどうでしたか?
ドラマの撮り方っぽくない撮り方というか、監督があまりカットを割らないスタイルの方だったので、本当に1シーン1カットというスタイルの撮影をしました。こんなに重いテーマを扱った作品をやっているんですけど、撮影現場はカットがかかると共演者の方と仲良くさせていただいて、ほとんどの方と飲みに行かせていただきました。本当に気持ち良く撮影が進んで、すごく早く終わったりとか、朝が早い日もありましたけど苦じゃなかったし、僕は2週間くらいの撮影期間だったんですけど、充実していました。ただ、本番のときはやっぱりこういう作品ですからちょっとピリピリというか重い感じもありましたけど、撮影が終わっちゃえば…という感じでした。現場でも監督が指揮をとって和気あいあいとしていました。
―――その重い部分などは、撮影が終わったときに引きずらないんですか?
今回は全くなかったです。もう監督がカットをかけて「きょうはお疲れ」となったときに自分より先に監督がスイッチを切ってくれたので「ああ、じゃあもういいんだ、江木じゃなくて」と自然に切り替わりました。オンとオフを自分でも多少は切り替えていたと思うんですけど、監督がきっちり切り替えてくれたので、全然引きずらなかったです。
―――主演の椎名桔平さん、母親役の風吹ジュンさんの印象はいかがですか?
椎名さんとはほとんど絡んでなくて、椎名さんのほかのシーンも見られてないので仕上がりが楽しみだし、2回ほど共演させていただいてるんですけど、前回共演したものとは全く違いますから、僕も本当に(作品の仕上がりが)楽しみです。風吹さんは“かわいいお母さん”という感じでしたが、悲しい家族なので…。でも母親だったら取るべき行動をとってくれたと思います。
―――いち役者として、今回の経験が今後に生きそうですか?
今回得たものはあると思うんですけど、今回の「灰色の虹」の江木という役を次の役に生かそうとは思いません。やはりこの「灰色の虹」の中の江木という一人の役なので。でも、現場で役者として得たものはたくさんあると思います。
―――ご自身のアピールポイントとドラマの見どころを教えてください
一つの冤罪をかけられた青年、そこに関わった警察、裁判官だったり検事だったり、一つの事件に巻き込まれたというか、関わった人たちに対する行動。テーマが“冤罪と復讐”だったりするので、関わった人たちがどうクライマックスに向かってくのかが見どころだと思います。
5月19日(土)夜9:00-11:11 テレビ朝日系で放送