現国立競技場最後のナビスコカップで柏レイソルが14年ぶりの栄冠に輝く!
サッカー・Jリーグナビスコカップの決勝が11月2日、東京・国立競技場で行われ、柏レイソルが1対0で浦和レッズを破り、見事14年ぶり2回目の優勝を果たした。決勝点を挙げたのは、週刊ザテレビジョン44号誌上でキープレーヤーとして挙げた工藤壮人で、まさに試合の鍵を握る活躍を見せた。
国立競技場が'20年の東京オリンピックに向けて改修工事に入り、新国立競技場に生まれ変わるため、過去何度もナビスコカップの決勝を行ってきた現在の国立競技場での頂上決戦は、これが最後。
浦和は10年ぶり、柏は14年ぶりと、共にこの地で1度ナビスコカップを獲得し、2度目の優勝を狙うチーム同士の戦いは、試合開始から浦和が攻勢に出て、柏がブロックするという展開に。しかし、互いに決定的シーンを作れないまま時間が過ぎてゆく。前半終了間際の44分、浦和のクリアボールがジョルジ・ワグネルの前にこぼれ、ダイレクトでシュート。これは惜しくもゴールのわずか右に外れたが、1分のアディショナルタイムに何かを予感させるのに十分なシュートだった。
そして、浦和陣内メインスタンド側のスローインを素早く右サイドに展開すると、ボールを受けた藤田優人がアーリークロスをゴール前に供給。数は足りていたものの、体制があまり整っていなかった浦和ディフェンス陣は、中央に切れ込んだクレオの動きに釣られたこともあってファーに走り込んだ工藤壮人をフリーにしてしまい、工藤がヘディングでゴール右隅に流し込み、柏が1点をリードして、前半を終えた。
後半は早く同点に追いつきたい浦和がボールを多くキープし、柏が受ける形がさらに顕著に。しかし、浦和はなかなか柏のペナルティエリア内に侵入することができず、クロスは高さを揃えた柏ディフェンス陣に跳ね返される。ゴールキーパーの菅野孝憲を慌てさせるようなシュートもなかなか打てないまま、逆に柏に効果的なカウンターを仕掛けられ、ゴールキーパーの山岸範弘の好セーブやディフェンスのふんばりで何とか追加点を阻止するという戦いが続く。
だが、試合終了の44分、浦和にこの日最大のチャンスが訪れる。カウンターから柏ペナルティエリア内に原口元気が侵入しシュート。最後はディフェンスにクリアされたものの、そのボールが柏木陽介に当たり、ゴール前の興梠慎三の足元に流れ、これをゴールに流し込む。副審が旗を上げなかった(誰に当たったか分からなかったためで、ゴールの判定もしていなかった)ため、スタジアムアナウンサーまで「ゴール」と叫んでしまう劇的な同点弾かと思われたが、主審がオフサイドを見逃さず、ノーゴールに。結局、4分のアディショナルタイムを守りきった柏が、'99年以来2度目のナビスコカップを手にした。
表彰式の後、ゴール裏のサポーターの前に駆け付けた殊勲の工藤は、そのままスタンドに上がり、サポーターにあいさつ。この日、観客席は赤7対黄色3くらいの割合で染まっていたが、工藤は「数では負けていたかもしれないけど、質ではうちのサポーターが勝っていたと思います。皆さん応援ありがとうございました!」と感謝した。