「日本アカデミー賞」で「舟を編む」が6部門受賞! 最優秀音楽賞の久石譲「ここにいるみんなは譜面を書けます」
今年の日本映画最高の栄誉を決める「第37回日本アカデミー賞授賞式」が3月7日に東京・グランドプリンスホテル新高輪にて行われ、各賞を受賞した出演者・スタッフらが出席した。
「そして父になる」「凶悪」など、6作品が争った最優秀作品賞に輝いたのは「舟を編む」。'12年本屋大賞第一位に輝いた三浦しおんの同名小説を映画化した作品で、辞書編纂の仕事をすることになった変わり者の主人公・馬締光也が、周囲の人たちと共に辞書作りに情熱を傾けていく姿をユーモアを交えて描いた。
「舟を編む」は作品賞を含め、最多となる6部門で最優秀賞を獲得。自身も監督賞を受賞した石井裕也監督は、「みんなで作った映画なので、こうやって映画に携わってくれた人たちとみんなで一緒に(この場に)いられるというのがすごくうれしいです。一緒に戦ってくれたスタッフの皆さんが本当に素晴らしかったので、本当に感謝しています」と率直な思いを語った。
そして、同作品で最優秀主演男優賞に輝いた松田龍平は、「大島渚監督の『御法度』で新人俳優賞を頂いて、それからこうして(最優秀)主演男優賞を頂いて…。やはり僕のおやじ(松田優作)を好きだった方たちから、期待されてるなぁと思いながらやってきました。(これからも)いろんな方に影響を受けて、その中で自分のやれることを見つけていけたらいいなと思っています」と、ことし会長特別賞を受賞した故・大島監督への思いも口にした。
一方、「さよなら渓谷」で最優秀主演女優賞を獲得した真木よう子は、35年ぶりとなる最優秀助演女優賞(「そして父になる」)とのW受賞という快挙を達成。助演での受賞の際、「すっごいびっくりしました。まさか頂けると思わなかったので。でもリリー(・フランキー)さんと一緒に取れて、何かすごくうれしいです」と受賞の驚きを明かした真木は、主演での受賞の際は「本っ当にうれしいです。現場にいた一人残らず全ての方のおかげでこの賞を取れたと思っています」と力強くスピーチした。
さらに、スタジオジブリ2作品がノミネートされ、「同門対決」として注目を集めていたアニメーション作品賞は「風立ちぬ」が最優秀賞を受賞。鈴木敏夫プロデューサーは「ちょっと複雑です。昨年ジブリは『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』の2本作ってしまいましたので。(今回の受賞を受けて)同じ年に2本作るべきじゃないという教訓を得ました」と本音も。同じく「風立ちぬ」で最優秀音楽賞を受賞した久石譲は、「きょう優秀音楽賞を受賞した作曲家たちは、みんな譜面を読めるし書けますので」と、ゴーストライター問題で話題の佐村河内守氏を皮肉り、会場を大いに沸かせた。
また、「オールナイトニッポン」(ニッポン放送他全国36局ネット)リスナーの投票で決定される話題賞は、作品部門を「真夏の方程式」が、俳優部門を「ひまわりと子犬の7日間」のオードリー・若林正恭がそれぞれ受賞。自身の場違い感に緊張しっぱなしの若林に、司会の西田敏行は「今後はバラエティーと俳優業、どんな割合でやってきますか?」と質問。若林は「7:3くらいで…」と返し、会場の笑いを誘っていた。その後も“俳優・若林正恭”の今後について質問する西田に対し、若林は「俺のくだり多くないっすか?」と苦笑い。最後まで恐縮しきりだった。