「HERO」初回を分析!北川景子ら新キャストと変わらない世界観が高評価
13年ぶりに帰ってきた「HERO」(フジ系)が7月14日、スタートした。初回は30分拡大版で、主人公・久利生公平役の木村拓哉を中心に、北川景子、杉本哲太、濱田岳、八嶋智人らの息の合った演技が見られた。
気になる初回の視聴率は、26.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。15日時点で、すでに始まっている7月スタートの他ドラマの初回視聴率と比較すると、頭ひとつ抜きん出たかたちとなった(「HERO」を除く初回最高視聴率は「おやじの背中」(TBS系)の15.3%)。
果たして、これから2014版「HERO」はどうなるのか、ドラマ評論家の成馬零一さんと、テレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんに考察していただいた。
――「HERO」の第1話の率直な感想を教えてください。
カトリーヌあやこ(以下カトリーヌ):キャスト以外、思ったよりも変わってなかったです。変わらないHEROの世界観がありました。13年前だけど、音楽、セリフのテンポ、演出が昔のままでした。
成馬零一(以下:成馬):良くも悪くも前回と同じクオリティーを保っていましたね。逆に新しいことはやってないけれど、思ったよりも楽しめました。
――城西支部のキャストが一部変わったことについては?
カトリーヌ:そんなに違和感はありませんでした。前回久利生の事務官、松たか子さん演じる雨宮舞子は3歳差の設定、今回は北川景子さん演じる麻木千佳が12歳下の設定で、これから違いが出てくるのかなという気がしました。
成馬:キャストは変わって良かったと思います。北川景子さんと濱田岳さん、若手二人が良かったです。特に久利生と北川さん演じる麻木のやりとりが面白かったですね。
――13年前の「HERO」と比べて、いかがですか?
カトリーヌ:最近、続編ドラマが多いけれど、前回のファンと新しいファンを納得させなくちゃいけないのが難しい。“何がHEROだったのか”、作り手側がしっかり考えて、音楽、脚本、カメラワークなどファンが好きだった「HERO」のツボを抑えていたと思います。
成馬:前回の久利生と雨宮のやりとりとは違って、北川さん演じる麻木はがさつで尊敬があまりなく、久利生と対等な関係になっていました。雨宮との差別化が良かったです。
――今回、初回視聴率が26.5%でしたが、この数字はどうですか?
カトリーヌ:すごいですよね。みんながやっぱり13年経ってどうなるのか、興味を持ったのだと思います。愛されている作品なんだと思いました。実際、安心感がありましたね。
成馬:思ったより高いです。すごいですね。20%いかないと思っていました。
――今まで、木村さん主演ドラマや刑事系ドラマは多々ありますが、それらと比較していかがですか?
カトリーヌ:「HERO」のいいところは、1話完結で、正義に対しての久利生の姿勢などが分かりやすく明解であること。また、個性的なキャストが多くて、群像劇なのが面白いですね。チームプレーをすごく感じます。
成馬:木村さんはドラマでいろんな職業になって、「HERO」で原点回帰しましたね。新しいことをしようというドラマじゃなく、変えないことに意味があると思います。キャッチコピーに“時代が変わった、あの男はどうだ。”とありますが、13年間経って荒っぽくなった世の中の高揚感に水を差している、木村拓哉のナチュラルさ、良さを打ち出していましたね。淡々と正義感を示しているのが良かったです。
――今後の「HERO」はどうなりますか? 期待することなどあれば教えてください。
カトリーヌ:1回目に変わらない世界観を提示したのは、間違ってなかったと思います。今後期待するのは雨宮の話がちょっと出てきたので、第1シリーズのキャストご本人も出てくるのか期待です。「あるよ」ってバーのマスター(田中要次)が、松たか子さんを出してきてほしいですね(笑)。
成馬:良くも悪くも変わっていないので、昔からのファンは離れないと思うし、この視聴率を受けて、逆に見てみようという人も増えるんじゃないですか。視聴率30%いくかもしれません。ただ、宇多田ヒカルさんの主題歌はあった方が良かったですね。第1シリーズのキャストが今後絡んでいくのか、これからどう転がっていくか楽しみです。
毎週月曜夜9:00-9:54
フジ系にて放送