相棒の柴犬に佐藤二朗メロメロ!?「イヌを飼う人の気持ちが分かりました」
佐藤二朗が主演を務める映画「幼獣マメシバ 望郷篇」が、9月20日より公開された。同作は、イヌと人の関係をさまざまな角度から描く「マメシバ」シリーズの最新作。今回は40歳を迎えた元ニート・芝二郎(佐藤)が、相棒の柴犬・一郎と共に携帯電話が圏外の島に旅立ち、一大騒動に巻き込まれる。監督は、同シリーズを手掛け続け、丁寧な人物や動物の描写に定評のある亀井亨。共演には、高橋洋、竹富聖花、田根楽子、宍戸開が名を連ねる。
今回、主人公・芝二郎を演じる佐藤二朗にインタビューを敢行。同作品に対する思いや、見どころなどを聞いた。
――撮影はいかがでしたか?
撮影で滞在した漁村は、本当に海に囲まれていて、人も時間もゆったりと流れていました。そんなロケ地の雰囲気は、この作品とマッチしていたと思います。また、これまでのシリーズの中で最も情緒的な、風情のある作品に仕上がっていると思います。
――ロケ地での思い出をお聞かせください。
僕は晩酌をするのが何よりも楽しみなので、民宿の親父さんにおいしい魚料理を食べることができる場所を紹介してもらいました。そこは元漁師の方がやっているお店で、亀井監督とほぼ毎日のペースで通っていましたね(笑)。滞在中に撮影スタッフも来るかもしれないと思って「マメシバ」として焼酎のボトルを入れたのですが、注文した「金目鯛の炙りポン酢」と「カワハギの刺身(肝和え)」を見たら、せっかく頼んだ焼酎のボトルのふたも開けずに日本酒を注文しちゃいました(笑)。「久保田 千寿」という冷酒で、新鮮な魚料理を堪能させていただきました!
――共演者の高橋洋さんと宍戸開さんの印象を教えてください。
高橋洋くんは、もう4作目なので何も言わなくても芝二郎のキャラクターを分かってくれていて、すぐに(演技に)入れるし、一緒にアイデアも出し合える関係もすごく良いコンビだなと思っています。宍戸さんは今回が初めてなので、やっぱり芝二郎の独特な役作りにびっくりしたと思います。ただ、それでも宍戸さんはすぐに対応してくれるんです。それに宍戸さんは、カメラが回っていない時でも明るいムードメーカー的な存在で、頼れる兄貴みたいな心強い存在でした。僕もそういう部分を見習いたいですね。
――共演している柴犬との信頼関係はいかがですか?
「マメシバ」シリーズが始まってから5年がたつけど、イヌとの接し方が自然になったと言われるようになりましたね。僕自身は、全然意識をしていないんだけど(笑)。最初はイヌを飼っている人が、なんで犬をかわいがるのか分からなかったのですが、今はイヌをかわいがる人の気持ちが分かります。「(イヌを飼うことに)責任を持ち、人生が少し豊かになったと思える人」が犬を飼う資格があると、作品の脚本を担当している永森裕二さんが言っていましたが、その意味が分かるようになってきました。
――芝二郎という役柄については、どのように感じていますか?
僕は芝二郎の友達にはなりたくないね。だって、小難しいこと言うし、人と目を合わせないし、酒も飲まないから面白くないし…。そういう点では、芝二郎より僕の方が150倍くらい社交的だと思います! ただ、芝二郎はなんだかんだ言っても気持ちは優しいヤツだと思うんで、心のきれいさは僕の150倍きれいかな(笑)。
――作品の見どころを教えて下さい。
まず、せりふに“詩”があること。それは、この作品のポイントだと思う。次に、主人公がこれほど独特な癖を持つ作品も珍しい。どちらかと言えば、主人公は癖を付けず、あくの強いことは脇役に任せるのが主流のような気がする。中年ニートという特異な設定だったので、ああ言う癖を付けましたが、それはなかなか無い事です。そして、回を重ねるごとに、芝二郎のキャラクターとせりふがなじんできた。5年もやっているので、自信を持って最新作もお薦めしたいです。動物と人間の距離感をここまでリアルに描いている作品は、これまでの日本映画にはありません。まあ、地味だからだけど(笑)。ただ、それこそが多くの共感を呼んでいる勝因の1つだと思います。
――ファンに向けて、メッセージをお願いいたします。
「マメシバ」シリーズは、脱力系でかわいくてユルいっていう定評があるのですが、実はそれだけじゃなくて、ものすごく熱い作品です。これまでの日本映画にないものがこの作品には埋まっている。この作品は見ないと損をすると思いますよ! これからも、この「マメシバ」シリーズを1人でも多くの方に知ってもらいたいので、続けられる限りは続けていきたいと思っています。
シネマート新宿ほかで上映中
監督=亀井亨
脚本=永森裕二
出演=佐藤二朗、高橋洋、竹富聖花、田根楽子、宍戸開 ほか
配給=AMGエンターテインメント