あなたも既に”洗脳”状態かもしれない!?「放送禁止」シリーズ最新作が描く”洗脳”の恐怖!
"ある事情で放送禁止となったVTRを再編集し、放送するドキュメンタリー"という設定でカルト的人気を誇るフェイク・ドキュメンタリーのTVシリーズ「放送禁止」の最新作「放送禁止 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~」が10月11日(土)から東京・池袋シネマ・ロサで公開される。
'03年にフジテレビで放送され、ストーカー被害や隣人トラブルなど様々なテーマに取り組んできたシリーズ最新作のテーマは"脱洗脳"。自己啓発や新興宗教などのトラブルで度々耳にする"洗脳"状態に陥ってしまった人間を救うため、心理セラピストによる"脱洗脳"の一部始終をカメラに収めた、という内容だ。まるで実際のドキュメンタリーを見ている錯覚に陥る新感覚の映像体験が魅力の本作。監督、企画、脚本を務める長江俊和監督(「不安の種」「パラノーマル・アクティビティ第2章TOKYO/NIGHT」など)に劇場最新作について聞いた。
―"洗脳"というテーマに取り組もうと思ったきっかけは?
「放送禁止」という番組は社会現象や問題となったテーマをフェイク・ドキュメンタリーとして扱うことが多く、製作当時に芸能人が占い師に洗脳されるといったニュースがあり、興味を持ち劇場版のテーマにしようと思ったのがきっかけです。
―製作にあたり、重視した事は?
「放送禁止」はフェイクではあるけれど、真に迫るドキュメンタリーにしたい、という思いで製作しています。出演者も一般のドラマや映画とは違い、日常の一幕を思わせる雰囲気で演技が出来る方を選定することが重要で、オーディション方法も映画などの場合とは違い、台本の読み合わせもせずドキュメンタリーの登場人物になりきってもらいます。たとえば"ご近所トラブルに悩む主婦"というテーマで空想上の被害を語ってもらう形式で行うこともあります。空想上の被害を自分の言葉でリアルに語るには、語彙力や想像力が豊富でないと難しいので、出演者の選定には毎回苦心しています。
―今回参考にされた実際の事件は何かあったのでしょうか。
核となるシナリオは全て想像ですが、テーマによっては作品のディテールアップのため、ありそうな物事に対し取材やリサーチをすることもあります。今回も劇中に映像出演して頂いている"脱洗脳"スペシャリストの苫米地(とまべち)英人氏へ取材を行い、彼の著書もストーリー作りの参考にしています。ストーリーは虚構でも作品を構成する要素にリアリティーを追求するというのがこのシリーズの特徴のひとつです。苫米地氏の言葉で印象的だったのは、「我々も社会によって洗脳を施されている。あらゆる習慣や社会制度というのはあくまで人間が決めたことであって、それも広義での洗脳である。ただそれらは"社会的に認められた洗脳"であり、問題となるのは社会的に認められていない、身体生命に害を及ぼすような洗脳である」ということです。「ある意味で全ての人間は、生きていくために洗脳されている。人間は非常に洗脳されやすい生き物であり、逆に言うと洗脳されないと社会生活を維持できない。洗脳というのは一概に悪であるとは言い難い部分もある」とも仰っていました。
―"脱洗脳"において重要なことは?
洗脳された人に初めて会う瞬間に"脱洗脳"成功の可否が決まるといっても過言ではないらしく、苫米地氏はその瞬間に、"脱洗脳"における労力の半分以上を注ぎ込むそうです。「たとえ世の中のすべてのことがあなたを攻撃しても、私だけは絶対にあなたの味方です」という気持ちで被洗脳者と真剣に向き合わないと成功しないそうで、根幹となるのはやはり人の心に訴えかける愛情だそうです。洗脳が完全に解けるまでには何カ月も、もしかしたら何年もかかる場合もありますので、"脱洗脳"を行うには、我々の想像を絶するエネルギーと覚悟が必要になるのだと思います。
―次回作で扱ってみたいテーマは?
「放送禁止」という作品の性質上、社会で起こるあらゆる物事をテーマに作品を作り続けることができます。警察密着もので放送禁止になった事例を扱ってみたいですね。あとはラブストーリーなども究めてみたいです。
―「放送禁止」シリーズファンへのメッセージをお願いします。
初めは本当に趣味の番組として、ゴールデンの時間帯では放送できない内容のものを作ろうということで、楽しみながら作ってきました。回を重ねるごとに視聴者の反応も増えてきまして、まさかこんなに続くものだとは思ってもみませんでした。当初から見て頂いている方々には本当に感謝しております。今回の劇場版もファンの期待を裏切らないものになっています。「放送禁止」シリーズをご存じでない方でも、他の作品では味わえない不可思議な映像体験が出来るはずですので、是非この機会にご覧頂ければと思います。
10月11日(土)より池袋シネマ・ロサで公開
監督・企画・脚本=長江俊和