黒澤映画のエッセンスを含んだ”ヴァイキング”制作秘話
ヒストリーチャンネルで2月22日(土)夜9時にスタートする海外歴史ドラマ「ヴァイキング~海の覇者たち~」の脚本と製作総指揮を担当したマイケル・ハーストが作品について語った。
マイケルはアカデミー賞を受賞した「エリザベス」(‘98年)やエミー賞を受賞した「THE TUDORS~背徳の王冠~」など歴史エンターテインメント作品に定評のある脚本家の第一人者。
バイキングが活躍した8世紀の時代を再現したスケールの大きい映像も見もの。「腕のいい大工を雇って当時のバイキングの作り方と同じように船を造ってもらったり、衣装デザイナーがスカンジナビア地域を訪れて、衣装がどのように作られているかを実際間近で見てきた。全てにおいて出来る限り現実感が出せるように努力したよ」と裏側を打ち明けた。
魅力的なキャラにも注目。「膨大なリサーチをする中で登場人物やストーリーのアイデアが浮かんできた。主人公はもちろん、親近感を覚えてしまう大好きなキャラが2人いる。まず修道士役のアセルスタン。彼は現代社会に生きる視聴者が、バイキングの世界に連れて行かれたらどうなるかというのを実際に体現している役なんだ。そしてもう1人は船造りのフロキだね。彼は道化師的な存在で、とてもクレージーで楽しいキャラクターだ。書いていて楽しい。彼らのことをずっと考えているわけだから、本当に存在している人物のように思えてくるんだ」と登場人物に対する思い入れもたっぷり。
撮影中には不思議なエピソードも。「『第8話 生贄の儀式』に登場する寺院を建てていた時のことだ。木を切ったり叩いたり大きな音を響かせながら造っていたところ、突然森の奥からから雄ジカが現れたんだ。みんな手を止めてその野生のシカを眺めていたら、そのまま寺院の中に入っていった。そのシカは人間のことを少しも怖がっていなくて寺院の中を歩き回った後、森の中に消えた。バイキングは、神は姿を変えることができると信じているから動物にさえなれると信じていた。だから僕たちもシカと遭遇したのではなく、バイキングの神に出くわしたんだろうと思うようにしたんだ」と荘厳な経験をしたことを打ち明けた。
迫力のある戦闘シーンも見逃せない。「バイキングたちの略奪のやり方や戦い方を理解するにつれ、黒澤明の映画を思い出した。僕も彼の作品には多大な影響を受けた一人だ。彼の映画の中で描かれていた侍たちの戦い方や儀式などには本当に衝撃と感銘を受けた。彼の作品の素晴らしいアクションは僕の作品の中にも生きている。娯楽作品として人々を楽しませる作品になるよう心掛けたが、見る人にもその気持ちが伝わればうれしい」と日本の視聴者にメッセージを寄せた。
2月22日(日)スタート
毎週日曜 夜9:00-10:00ほか(22日のみ夜9:00-11:00 2話連続放送)
CS放送 ヒストリーチャンネルにて放送