家入レオが「Nのために」主題歌に込めた思い(1)
2月18日に発表された第83回ドラマアカデミー賞で、「Nのために」('14年10月~12月、TBS系)の主題歌「Silly」を担当した家入レオが「ドラマソング賞」を受賞した。
'94年から行われている同賞では、社会的に反響のあったドラマを部門ごとに表彰している。今回は「週刊ザテレビジョン」で紹介しきれなかった家入レオのコメントを全文掲載する。
――実際にドラマソング賞を受賞してみていかがですか?
すごくうれしいですね。私も「あー悲しい!」って思いながらも毎週ドラマを拝見させていただいていました。
ライブでは自分の解釈で歌うこともあったんですけど、ドラマを見ていて「Silly」ってこういう場面でも合う曲なんだなって気づくことが多くてすごく刺激を受けましたね。ドラマの主人公の気持ちで聴くとひと味もふた味も違った聴き方ができたのでとてもありがたい経験をさせていただいたなと思いました。
――自分の楽曲が流れる場面で印象に残っているところはありますか?
成瀬くん(窪田正考)が「頑張れー!」と叫びながら上京していく場面には鳥肌が立ちました。
「Silly」は、闇が深い楽曲と捉えることもできるので暗い場面や人間同士のドロドロした関係が描かれている場面で流れる曲なのかなって思っていたんです(笑)。なのでイントロが流れたとき、『頑張れー!』の場面は「大丈夫かな?」と冷や冷やしながら見ていたんですけど、サビを聴いた時にすごく感情が揺さぶられたんです。
こういう表現は自分1人ではできなかったことだったので、とてもありがたかった。
――今回作詞をするときに意識したことを教えてください。
いい意味で無責任でポジティブな言葉を置くことはやめようと思いました。闇を見詰めた人だけが光を見詰められると思うので。
「Nのために」の原作を読んで「Silly」を書き下ろすまでにいろいろと考えてみたんです。例えば「愛」についてだったり、「人」についてだったりと。
ただ、ドラマの主題歌だけどそこに寄りすぎちゃうと自分自身の色がなくなってしまう気がしたので原作を読んで生まれた感情をそのまま書きました。知らず知らずにドラマとシンクロする部分は多かったと思いますね。
また、これまでの私は「なんで人は失敗しちゃうんだろう」と思っていたんです。だけど人って傷ついて初めてその傷に愛が染み込んでいけるし、人の不完全な部分は『愚か』というよりも『人間らしさ』なんだなと感じたんです。逆にそういうところがあるからこそいろいろな人に気付くこともできる。作詞をするにあたって本当にいろいろなことを考えさせられるなと思いました。
――タイトルの「Silly」は『愚かな』という意味ですが、劇中で愚かながらも“愛おしく”感じた場面はありますか?
そうですね…。野口(徳井義実)さんが自分の奥さん(小西真奈美)に暴力を振るうところ(笑)。「なんで!」とは思ったんですけど、あれこそ人間の本能が出てる瞬間じゃないかなって。
人間は理性があるからやってはいけないことを止めていると思うんですね。どう考えても暴力は絶対にやってはいけないことなので、肯定してはいけないんです。
だけど奥さんのことをすごく大好きだったから手をあげてしまったじゃないですか。私、大きな気持ちにはそれだけ憎しみも伴うと思うんですよね。あの場面には人間の本質を見た気がしました。
「Nのために」は楽観的か悲観的かでいうと、悲観的で重いものを与えてくれるドラマだったと思うんですけど、生きていて光ばかり持っている人ってなかなかいないと思うんですよ。このドラマは人間の闇をちゃんと照らしてくれるんだと思いながら、私も一視聴者として毎週楽しみにしていました!
'14年10月17日~12月19日
TBS系で放送
家入レオ3rdアルバム『20』
2月25日(水)発売