孫が明かす“マッサン”夫妻の真実の姿
いよいよ今週最終回を迎えるNHK連続テレビ小説「マッサン」は、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏と妻・リタさんがモデル。
その夫妻を孫の立場から紹介した書籍「ウイスキーとダンディズム」(KADOKAWA刊)の著者・竹鶴孝太郎氏のトークイベントが2月10日、東京渋谷の代官山蔦屋書店で行われ、多くの観客を集めた。
ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーを聞き手に、孝太郎氏が当時の竹鶴家の様子を収めたフィルムを紹介しながらトークを進行。会場ではニッカのウイスキー「G&G」が振る舞われた。
この「G&G」は政孝氏が亡くなった際に、孝太郎氏がひつぎの中の遺体に1本丸ごと掛けたという銘柄。「葬儀の際に父親が脱脂綿にウイスキーを含ませて祖父の口元に付けていたんですが、祖父は毎日ボトル1本飲む人で、それでは満足しないと思った。自分の作ったウイスキーを体中に浴びて終えて欲しいと思ったんです」との内容に観客は驚きの表情。
そんな酒豪の政孝氏が、もっぱら飲むのは安価な「ハイニッカ」だったという。「何でそんな安いウイスキーを飲むの?と聞いたら『自分は日本で本物のウイスキーを作って安くみんなに楽しんでもらうことを目指してきた。自分が飲まないで誰が飲むんだ?』と。『高くておいしいのは当たり前、安くておいしいから本物なんだ』と話していました」と思い出を打ち明けた。
夫妻を収めた貴重なフィルムを披露しながら、政孝氏のウイスキーへのこだわりについても話が及ぶと「『TPOを大事にしろ』というのが政孝氏の持論で、『酒を飲むにはそれぞれに相性がいい時間帯がある』と言うんです。湯上がりにはビールと枝豆、食事時にはほっけや刺し身と日本酒の熱かん、家族団らんの時には夫婦そろって水割り。政孝氏は何も食べずに水割りだけを飲んでいたと言っていました」気取りすぎることなく、ウイスキーが完全に生活に溶け込んでいた様子がうかがわれる。
他にも孝太郎氏の母親はしゅうとめにあたるリタさんから和食も洋食も教わっていたこと、政孝氏の臨終の後、あまりに酒に強かったので専従の医師から内臓を調べさせて欲しいと申し入れがあったことなど驚きの逸話が次々と語られ、最後の質疑応答まで興味津々のエピソードが披露された。
発売中
定価800円(税抜)
発行:株式会社KADOKAWA