高橋克典主演ドラマPが語る2「魅力は骨太さと優しさ」
毎週木曜に放送中の高橋克典主演ドラマ「京都人情捜査ファイル」(テレビ朝日系)。実在する組織“犯罪被害者支援室”を舞台に、高橋演じる戸隠ら支援室メンバーが被害者に寄り添いながら事件の解決を目指す、異色の新作ミステリーだ。
そんな新しいフォーマットのドラマを手掛けるテレビ朝日の池田邦晃プロデューサーにロングインタビューを敢行。第2弾の今回は、キャスティングの決め手や、本物の“支援室”メンバーの印象などを聞いた。
犯罪被害者支援室のメンバーは身近にいる? 意外と知られていない、彼らの“活躍”ぶり。
「例えば目を覆いたくなる凄惨な事件が起こった時に、情報を収集するために集まるマスコミの取材規制をするのも支援室の方ですし、被害者遺族が発表するマスコミ向けのコメントも、実は彼ら支援室の方がまとめていたりします。子供を失った親が理路整然とメディアにコメントを出せるわけがないんですよ。
日々凶悪事件が報道されていますが、それは犯罪被害者支援室の方が被害者遺族に寄り添っているから成り立っている、ということが往々にしてあります。以前は捜査一課の刑事などが日替わり当番のような形で支援をしていたのですが、凶悪事件が増え過ぎてしまい、部署化せざるを得なかった。
だから皮肉なことですが、日本で凶悪事件が増えたことによって犯罪被害者支援室という部署ができたそうです。ですから、実はこの企画は世相を反映している、とも言えますね」
われわれの身近にいる支援室の人たち。実際の彼らはどんな人なのだろうか、池田氏が彼らに会ったことによって生じた心境の変化とは。
「やっぱり驚きました。これまでも刑事ドラマを制作した経験はあるので、警察の方にいろいろと取材のお願いをすることもありますが、同じ警察官なのかと思うくらい印象が違いました。ちょうど話を聞いた方は、『昔は捜査もしていたんですよ~』っておっしゃってましたが、物腰が柔らかくて、全然事件に対峙(たいじ)していた方とは思えませんでした。
もちろん、優しいだけではなく、その中に覚悟や強い意志のようなものは感じますよ。とても大変なことをしている部署だと思いますし。ある意味では、殺人犯と対峙するより、愛する人を殺されてしまった被害者と対峙する方がつらいかもしれません。
その犯罪被害者支援室の方がおっしゃっていたのは、『自分が弱いと悲しみに引っ張られちゃうし、自分の心が病みますよ』ということでした。同情しながらも悲しみの底に引っ張られないという強い気持ちが大事なんだなと。
これはドラマで描く上では絶対に盛り込んでいかなければいけない要素ですね。企画した時より実際に会うとそれを強く思います。最初は、こういう部署もあるのか、面白そう! という興味だけでしたが、実際に彼らとお会いすると僕の中にも覚悟が生まれましたね」
そんな優しくも強くもある支援室メンバーを演じる俳優たち。特に主人公・戸隠鉄也役に高橋克典を据えた理由とは。
「克典さんはパッと見、ちょっと骨太なところがありますよね。でも、克典さんの魅力の一つが、“骨太さと優しさ”が同居している雰囲気。あまりいない、とても稀有(けう)な俳優さんだなと。
犯罪被害者支援室のメンバーは、優しいだけじゃなくて強さと覚悟があると言いましたよね。克典さんもただ骨太なだけじゃなく、優しいオーラを出しているだけでもなく、二つの要素がうまく同居した何かがこの人の中にはあると思うんです。
犯罪被害者支援室のドラマをやる上で、強さと優しさって言葉をよく使うんですが、それを描くなら克典さんしかいないだろうと。なかなか得難い俳優さんだと思います。克典さんであれば、戸隠鉄也という男を余すところなく表現してくれるだろうなと思っています」
絶大な信頼関係で結ばれている主演の高橋と池田P。以前「匿名探偵」('12年ほか)や「特命係長・只野仁」('03年ほか)シリーズでもタッグを組んでいた、いわばゴールデンコンビ。だが、どうしても2人のタッグとなると夜のイメージが付きまとう。
「克典さんと僕だと、確かに金曜ナイトのイメージですよね(笑)。克典さんって夜のドラマもそうですけど、他でもあまり思い切り笑顔になる役のイメージがないですよね。でも、今回は克典さんに『笑ってくださいね』って、クランクインの時にお願いしました。そしたら『おおっ、分かった』って柔和な笑みを浮かべてくれましたよ(笑)。
毎回事件解決した後、プラスワンの部分がありますが、その時はすごく優しい笑顔が見られます。悲しみが消えることはないですが、被害者遺族と向き合う時の克典さんの優しい笑顔は、これまで見たことがない笑顔になっていていいですよ!
特命係長のような“ニヤリ”的な笑いはこれまでもありましたけど(笑)。でも、これは圧倒的に優しい笑顔です。 “木8”に出るに当たっていろいろと考えてくれていますし、見たことのない克典さんが見られるんじゃないかなと思います。温かさがあり、厳しさもあり、まさに“昭和のお父さん”っていう雰囲気もありますね」
主演の高橋だけでなく、松下由樹や松平健ら脇を固めるキャストも豪華絢爛(けんらん)。彼らが共演することによっての相乗効果は計り知れないと池田Pは力説。彼らの魅力については次回、5月14日(木)掲載のインタビューで紹介する。
毎週木曜夜8:00-8:54
テレビ朝日系で放送
※次回、インタビュー第3弾は5月14日(木)朝6時に掲載予定