伝説的カーデザイナーが語るフォーミュラE第9戦
電気自動車によるフォーミュラカーレース「FIAフォーミュラE選手権」。昨年9月に開幕以来、電気エネルギーのペース配分が勝敗を分ける高い戦略性と、全コース市街地レースならではの激しいクラッシュなど、スリリングなレースが展開されてきた。
6月6日(土)の第9戦モスクワ大会を前に、富士グランチャンピオンレース(GC)用マシン「紫電77」('77年)や、ル・マン24時間レースで日本車初のクラス優勝を獲得した「マツダ717-C」('83年)など、数多くの名機をデザインしたレーシングカーデザイナー・由良拓也氏が大混戦のフォーミュラE終盤戦について語った。
第5戦マイアミ大会では、元F1ドライバー、アラン・プロスト率いるe.ダムス ルノーのニコラス・プロストが初優勝。さらに、第6戦ロングビーチ大会では、チャイナレーシングのネルソン・ピケJr.がフォーミュラE初優勝を果たすなど、かつての“F1四天王”の息子たちが続々と表彰台に登った。
さらに、終盤戦に突入した第8戦ベルリン大会では、一時は優勝フラッグを受けたルーカス・ディ・グラッシが、レース後に“車両規定違反”が見つかったため“失格”となるハプニング。総合首位の座も明け渡した。
この結果、ディ・グラッシに約7秒遅れで2位に入った元F1ドライバーのジェローム・ダンブロシオが、今季8戦目を終えてフォーミュラE初勝利。また、ネルソン・ピケJr.は5位から4位に繰り上がったため、ディ・グラッシに10ポイント差をつけ、総合首位に立っている。
由良氏は、第8戦の結果を受けて、「ディ・グラッシが、レース後の車両検査で“車両規定違反” のため“失格”となってしまいました。車体の改造違反のようですが、ワンメークスレースの場合、クラッシュして修理した場合も、完全に修復されないと“改造”と言う解釈になるので注意が必要ですね。ディ・グラッシが完璧なレースをしただけにとても残念な結果です」とコメント。
一方、思わぬ繰り上がり優勝を果たしたダンブロシオについては、「なかなかなものかなと(笑)。彼のキャリアからしたら当然なんですが、今回のように3フェースが安定しているところで、ものすごく車の特性をつかみやすかったのかなと思いますね」と分析した。
飛行場の跡地を利用した第8戦から、第9戦モスクワ大会は“市街地レース”に戻る。ほぼ四角に近い作りだが、由良氏は「全く予想ができないです(笑)。ロシアの舗装がどんな路面か分からないですし。まったくもって走る場所がすごいですよね。クレムリン宮殿や赤の広場の横を滑走していくわけですもんね。実に興味深いところでまたレースができるんだなと思います」とレーシングカーデザイナーの血が騒ぐ様子。
最後に、あらためて終盤戦の見どころを聞かれると「“初代年間王者”決定へ向け、今回のロシア大会がかなり重要ですよね。ここで今シーズンが見えるのか、まだ最後の最後(最終戦ロンドン大会での、初の連日開催での決着)までその行方がもつれるのか? 大きな分かれ目になると思いますね。大詰めになり、非常に楽しみになってきました」と期待を寄せる。
「テスト走行」
6月6日(土)昼4:15-5:00
「予選」
6月6日(土)昼5:45-夜7:20
CSテレ朝チャンネル2にて生中継
「決勝」
6月6日(土)夜9:54-11:00
BS朝日にて生中継