佐渡裕「題名のない音楽会」卒業! 新司会者は五嶋龍
ことし9月に、'08年から7年半にわたり「題名のない音楽会」(テレビ朝日系)の司会を務めてきた世界的指揮者・佐渡裕が、番組を卒業することが分かった。これに伴い、番組内容も大胆にリニューアル。放送開始51年目の秋、さらなる歴史を刻むべく生まれ変わる。なお、10月からの後任は世界的バイオリニスト・五嶋龍に決まった。
現在、司会を務める佐渡は、'08年4月の放送から、急逝した羽田健太郎氏の後を引き継ぐかたちで司会に就任。小澤征爾、レナード・バーンスタインのまな弟子であり、初代司会者の黛敏郎氏とも番組内で共演経験のある佐渡は、当時既に日本を代表する世界的指揮者で、毎週放送の番組司会就任は驚きをもって報じられた。
佐渡の司会就任後は、番組コンセプトを示す「皆さんと一緒に新しいページをめくりましょう」という決めワードをコールに採用。このフレーズは、番組の視聴だけにとどまらず、そこで感じた音楽の楽しさや喜びを、ページをめくるようにどんどん広げていってほしいという願いが込められている。
毎回番組の冒頭で大きなページをめくるジェスチャーと共に観衆に唱和され、番組全体に佐渡を中心とした大きな一体感を生んできた。
また、本業の指揮はもちろんのこと、関西人らしい笑いを盛り込んだトークあり、感激の涙ありと、世界的指揮者の人間味あふれる姿は常に視聴者を魅了。世界各地でのコンサート活動を続けながら、忙しいスケジュールの合間を縫って番組の企画にも携わるなど、まさに八面六臂(ろっぴ)の活躍で番組を導いてきた。
この7年半、番組は「世界一長寿のクラシック音楽番組」としてギネス認定('09年)、東日本大震災復興支援コンサート('11年)、放送50周年('14年)など、さまざまな節目を経験してきた。
佐渡自身もまた、念願だったベルリン・フィルハーモニー管弦楽団でのデビュー('11年)を含め、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスなどの名門オーケストラに多数客演を重ね、世界的指揮者としてのキャリアを着実に重ねてきた。
そしてことし9月からはオーストリアの名門、トーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督に就任し、本場ヨーロッパでの指揮活動にますます専念することになり、物理的に司会を続けるのは難しいことから卒業という形で番組を去ることに。
世界のマエストロから、司会者のバトンを受け継ぐのは、かつて“神童”と呼ばれた若き天才バイオリニストの五嶋。現在26歳の五嶋がデビューを飾ったのは7歳の時。その記念すべき舞台で共演のオーケストラを指揮したのは、現司会者の佐渡という不思議な縁で結ばれている。
これまでのクラシック音楽の醍醐味(だいごみ)に加えて、さらに異ジャンルとのコラボにも挑戦。若くして既に国際的キャリアを誇る五嶋は、アメリカ・ニューヨークを拠点とし、世界を舞台に活躍中。
幼いころから神童の呼び声が高く、同じく世界的バイオリニストである五嶋みどりの弟としても注目を集めてきた五嶋だが、成人した現在では卓越した国際感覚の持ち主としても多くの人々を引きつけ、クラシック音楽界に限らず幅広い交流を結んでいる。
リニューアル後の「題名のない音楽会」では、クラシック音楽はもちろん五嶋の持ち味を生かせる異ジャンルとのコラボレーション・プログラムも多数企画している。クラシック音楽の知識がなくとも、誰もが引きつけられる本物の芸術を届けていく。
クラシック界のトップスター二人によるバトンリレーで、「題名のない音楽会」はこの秋、新たなページをめくる。
番組を卒業する佐渡は「小さいころこの番組を見て育った自分が、指揮者になってゲストに呼んでもらい、“出光音楽賞”もいただくことができました。ヨーロッパでやっていけるかどうか自信がないという時に、番組に背中を押してもらえたことはすごく大きな力になりました。番組との不思議な縁、強いつながりがあって、50周年という節目に司会を務めるという大役が回ってきたのだと思います」と、しみじみ振り返る。
さらに「番組を離れるのは寂しいですが、この7年半で自分が得たことを糧に、本業の指揮をこれまで以上に頑張っていかなければならないと思っています」と、さらなる夢へ向けて意気込みを語った。
毎週日曜日朝9:00-9:30
テレビ朝日系で放送
※佐渡裕の最終出演は9月27日(日)、五嶋龍の初回は10月4日(日)の予定