南沢奈央「女優になる前は獣医を目指していました」
毎週木曜に放送中のドラマ「まんまこと~麻之助裁定帳~」(NHK総合)で、主人公・麻之助(福士誠治)のいいなずけ・お寿ずを演じる南沢奈央にインタビューを敢行。演じるお寿ずに共感する部分や趣味の落語と時代劇の関係性について、夏の思い出やこの夏にやりたいこと、そして番組の見どころなどを語ってもらった。
――南沢さんからご覧になって、今回演じるお寿ずはどのような女性でしょうか?
お寿ずは女性から見てもかわいらしい女性です。真っすぐで思い通りにならないことがあったとしても、自分の気持ちや思いを表に出してしまう。麻之助との婚礼の話にしても、麻之助にいいなずけのフリをしてほしいと持ち掛けるのですが、それも自分が好きな人を支えるためにお願いしているので。かと思えば、麻之助が幼なじみの清十郎(桐山漣)たちと仲良くしているところを見て、それに嫉妬してしまうとか。自分では気付いていないのですが、表情があふれ出ていて周りから指摘されてしまうこともある(笑)。それらを総合して、お寿ずはピュアで真っすぐな人物なのだなと思いました。
――それは現代の女性にも通じるところがあるのかなと思いますが、どうですか?
そうかもしれないですね。黛りんたろう監督からも「お寿ずは一番現代の人に近い人物像」と言われましたから。そのおかげで結構イメージしやすくなりましたし、私自身共感できるところは多いですね。
――特にどの辺りが共感できますか?
幼なじみに嫉妬する気持ちが共感できます。幼なじみの男性が3人で喋っているだけなのに、きっと自分がその輪に入れなくて悔しいって思ってしまったり、自分も幼なじみだったらいいのにと思ってしまったり。そういう感情は理解できますし、ちゃんとせりふとして表現されているところが良いですね。
――南沢さんご自身には幼なじみのような存在はいらっしゃいますか?
今でも定期的に会うような幼なじみはいません。高校生時代には幼稚園から中学まで一緒だった子と仲良くしていたことがありましたけど…。その子が獣医さんになりたいと言っていたので、その子に影響されて女優になる前に獣医さんを目指していました。それくらい仲がいい子はいますけど、麻之助たちのように大人になっても家を行き来するような関係性はなかなかありません。
――現代の女性に近いとのことですが、演じる上で逆に難しいと思うところはどこでしょうか?
性格だったり感覚だったりは現代の人に近い部分がありますが、衣装は当時のものなのでやはり所作が難しいです。でも、福士さんはアドリブをどんどん入れられて伸び伸びと演じられているんですよ! すごいですよね。私の場合は所作を気にしてしまって、芝居が制限されているような感覚なのに。そういう面では思うように演じられず難しいなと思ってしまいます。
――特に難しいのはどういうしぐさでしょうか?
普段は話すときに身振り手振りを交えるのですが、それを時代劇でやると下品に見られるので、お辞儀一つとっても上品に見えるようにと心掛けています。いつも現場で所作を指導してくださる先生に教えていただいているんですけど、時代劇では気にしなければいけないことがたくさんあるのだなと思いました。
――勝手なイメージですが、南沢さんは落語もお好きなので、時代劇と落語に通じるものがあるのかなと思っていたのですが…。
確かに落語を見ていて、考えているしぐさなどはとても勉強になりますね。ただ、それをうまく芝居に取り入れようとするとなかなかうまくいきません(笑)。落語の勢いの部分は「まんまこと」の世界の勢いと通じる面があると思います。せりふのテンポも落語を聞くと参考になりますよね。江戸の町をより想像しやすくなる気がするので、撮影中も落語はたくさん聞いています。
――落語の小気味いいリズムが良いですよね。
そうですね。難しい言葉でも落語ならス~っと頭の中に入ってきますから。普段は使わないような時代劇の言葉も、自然に喋るために落語から勉強しています。
――主演の福士さんの印象を教えてください。
とても頼りがいがある方です! そばにいてくださると頼もしいですし、みんなが福士さんのところに自然と集まってくる雰囲気を持っていらっしゃいます。福士さんがいらっしゃると周囲が笑顔になりますし、福士さんが持たれているオーラのようなものが、完成した映像を見ても自然ににじみ出ていると思いました。
――ちなみに福士“座長”はグイグイ引っ張るタイプですか?
グイグイという感じではないのですが、お芝居に関していつも提案してくださいます。私は芝居をしていると、客観的に見られなくなってしまうのですが、福士さんは「ここは間があった方が面白いんじゃない?」などと的確に指摘してくださいます。福士さんは他の人のせりふもちゃんと見てくださって、客観的にそのシーンについて語ってくださいます。いつも心に余裕があるというか、一歩引いたところから現場を見てくれるので安心できます。まさに「アニキ!」って感じですね。
――では、7月23日(木)放送の第2話の見どころを教えてください。
第2話では、お寿ずがあるテーマの解決に関わっています。お寿ずも麻之助(福士)と一緒に推理して、各所に話を聞きに行く。第2話は私と又四郎と麻之助の推理合戦のような回になっていて、どういう結末なのか最後の最後まで分かりません。お寿ずの人柄もよく出ています。それ以降もお寿ずは一番変化が多いキャラクターなのですが、今後主要人物の結束がどんどん強くなっていって、関係性もちょっとずつ変わっていきます。それぞれ個性が強いのですが、それが回を重ねるごとに引き立っていくのが見どころの一つです。あとは1話完結ドラマなので、今まで見ていなかった人も途中から気軽に見ていただければと思っています。時代劇だからといって堅苦しくなく見られるので、いろいろな人に楽しんでいただきたいです!
【南沢奈央「3年くらいで仕事やめると思っていました」へ続く。同記事は7月24日(金)朝6時配信予定】
毎週木曜夜8:00-8:43
NHK総合で放送