「亜人」役・宮野真守、表現者としての思いを明かす
現在開催中の第28回東京国際映画祭にて、劇場アニメ「亜人」3部作の第1部となる「亜人 –衝動-」のワールドプレミアが行われた。
メーンキャストの声優・宮野真守、細谷佳正、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、瀬下寛之総監督、安藤裕章監督が舞台あいさつに登壇し、制作の裏側や作品の見どころについて語った。
「亜人」は、「good!アフタヌーン」(講談社刊)で連載中の同名漫画をアニメ化。不死の新人類“亜人”となった男子高校生・永井圭と、亜人捕獲作戦を展開する日本国政府との壮絶な戦いを描いたバトルサスペンスとなっている。
ある日、トラックに追突され死亡した圭は、その直後に生き返り、日本で3例目の亜人として周囲の人間から追われることに。山奥へと逃げ込んだ圭は、幼なじみの海斗の力を借り、さらなる逃走を図る。
一方、圭の捕獲を指揮する亜人管理委員会の責任者・戸崎は、手掛かりとして、圭の妹・慧理子に目を付ける。だが、そこにはすでに別の亜人とIBMと呼ばれる謎の黒い物体が侵入していた。
作品の上映後、謎の黒い物体・IBMと共に出演者が登場。主人公・圭役の宮野が両端を固めるIBMに驚いたそぶりで注意を向け盛り上がる中、舞台あいさつがスタート。
本作は、収録した音声に合わせて映像を作成していく、プレスコと呼ばれる手法で制作。その映像を見た海斗役の細谷は「ドキュメンタリーのような作品にしたいと伺っていて、僕たち声優の演技と映像とが合わさり、実写映画のように仕上がっていました」と作品に携われた喜びをあらわに。
一方、櫻井は「完成した映像を見て、人間の本能に訴えかける“生きる”ということを考えさせられる作品だと思いました」と感想を語った。
戸崎の秘書・下村泉役の小松は、収録について「目の前にカメラがあり、自分の演じている表情からも映像が作られるのかな?と思っていました。細かい動きや表情などリアルなお芝居になっています」と振り返る。
また、平川は国内2例目の亜人・田中を演じるにあたり「田中は人間を憎む役どころです。泣きながら怒りが込み上げてくるシーンがあり、どういう感情によって、こういう表現になるのだろうと長い間考えていました」と印象に残ったシーンを挙げる。さらに「IBM同士の戦いも見どころですね」と答えると、隣にいたIBMと手をつなぐおちゃめな一面も見せた。
圭の妹・慧理子を演じた洲崎は「慧理子は、お兄ちゃんのことを“クズ”だと思っていて」と説明すると、すかさず宮野が「宮野さんを“クズ”って言う気分はどうですか?」とツッコみ会場は笑いの渦に。洲崎は続けて「収録では“お兄ちゃん”だとしか思っていないので、宮野さんのことだとは思ってないです。プレスコでの収録ということもあり、普段よりも役に入り込んでしまって、最初のころは現場で、私から宮野さんに話し掛けられなかったです」と明かした。
そんなキャストの思いを受け、瀬下総監督は「収録の音声を聞いた段階で、ラジオドラマとしても十分なクオリティーの高さに、スタジオのアニメーター、アーティストも刺激を受けて、僕たちにとっても挑戦的な仕上がりになりました」と力強く述べた。
そして、安藤監督も「瀬下総監督と同じことを伝えたいと思っていました」と苦笑いしながらも、「“生きる”ということをテーマにしていたので、“生きた”キャラクターを描くにあたって出演者の皆さんの演技に助けられました。また、作品は見ていただくために作っているので、この場に集まっていただいた皆さんにもお礼を言いたいです」と感謝の言葉を口にした。
最後に、宮野は収録を振り返り、圭のキャラクターや表現者としての思いを熱く語るとともに、「僕自身、みんながどう感じて演じているのか、作っているのかを知ることができて、あらためて作品の見方が楽しみになりました。映画は原作よりも圭にスポットの当たった作品になっていると思うので、圭の気持ちを感じながら見ていただけると思います」と締めくくった。
11月27日(金)より2週間限定公開
TOHOシネマズ新宿ほかにて上映
配給:東宝映像事業部
【公式HP】www.ajin.net
【公式Twitter】@anime_ajin/#亜人計画