再び“女装バレエ”に挑戦! 上遠野太洸の決意
11月8日(日)に東京・新宿文化センターを皮切りに全国ツアーが始まる「『男だけのバレエ団』GRANDIVA グランディーバ バレエ団ジャパンツアー2015」に出演する、上遠野太洸にインタビューを敢行。前編・後編2回に分けて掲載する。
前編では、厳しいバレエ修業のエピソードや、バレエ団のメンバーとのコミュニケーションの取り方などを語ってもらった。
――前回の日本公演までさかのぼりますが、まずはこのお話が来たときの感想を教えていただけますか?
正直…マジかよ! と思いました。「何で僕が?」って(笑)。バレエをやったことがなかったですし、最初は不安でした。何となくバレエがどういうものなのかは分かっていても、実際にやるのは難しいと聞いていましたから。
純粋にバレエをやってきた人たちをバカにしている感じにならないかなと思って、最初は怖かったです。いろんな気持ちが渦巻いて、あの時は少し戸惑いました。
――その後バレエの勉強をされたのですか?
はい。数カ月ですが勉強しました。でも、バレエの基礎をみっちりやったわけではなく、基礎になる部分を少しやってから、すぐに振り付けの部分に入りました。その中で細かい動きの部分を調整していく感じだったので、バレエ自体の技術としては全然です。
もともと体が硬いこともあって、かなり苦戦しました。少なくとも舞台上で奇麗に見えるように、“バレエをしている人”に見せないといけないので。でも、ある意味では僕が普段やらせていただいていることの延長なのかなと思うようになりました。あ、バレエができる人の役が来たんだなと(笑)。そう考えたら少し楽になりましたね。
本格的にバレエをやらないといけないのか…と身構えていたのが、バレエができる人のフリをすればいいという気持ちでやったら少し楽になりました。とはいえ実際舞台に立つので、そんなに簡単なことではなかったですが(笑)。
――実際に見に行くことはなかったのですか?
まずバレエのDVDをもらってそれを見ました。熊川哲也さんの公演も見に行きましたが、あれは次元が違い過ぎてついていけませんでした(笑)。これはできないよなあ…って、ぼうぜんとしてしました。
そのほかに、バレエのレッスンに行ってみましたが、バレエのレッスン教室って、あまり僕くらいの年齢の人はいないんですよ。“ザ・マダム”という感じの人の中に僕が一人でいる恥ずかしさもありましたし、皆さんはある程度できるのに僕は全然できないので、二重で恥ずかしかったです。
――その後厳しい修業をされたんですよね。
はい。日本である程度やらせていただいて、実際にニューヨークに渡ってからも、本番で踊るバレエ団の方たちと、1カ月ほど振り付けなどのリハーサルや稽古をさせていただきました。前回の公演は、あれがなかったらできていなかったと思います。
――言葉が通じない異国の地での修業だったと思いますが、言葉の壁はありましたか?
言葉は正直今でも分からないです。でも、分からないなりにボディーランゲージを駆使してコミュニケーションを取りました。最初はそれも全く分からなったのですが、1カ月あったので、徐々にみんなが何を言いたいのかを察するようになってきました。ずっと一緒に踊っていたからなのかもしれないですが…。
でも、そのバレエ団だけでなく、街中でも徐々に分かるようになりました。その後の問題としては自分がどうやって相手に伝えるかでしたが、何となくノリと勢いで乗り切りました。
――あ、そこはノリで伝わるものなんですか?(笑)
僕もビックリしましたが、伝わったんです(笑)。最初は何を買うにしても伝わらなかったので大変でしたけど、ボディーランゲージで言葉の壁を乗り越えました。ただ…できればもうあの経験はしたくないなあ(笑)。
――相手に伝わらなくて困ってしまったエピソードは何かありますか?
バレエ団の団員で、僕と比較的年が近いジョナサンという人がいたのですが、彼が飲みに誘ってくれたことがあったんです。たぶん事前にどこに行くか言ってくれていたと思うのですが、その時は全く分からずに、言われるがままついて行って秘密のバーのようなところに連れて行かれました。
「何だココ! すごいなあ」と思っていたら、とても長~いグラスでモヒートを出されて…。何となく「1杯目はおごるから」というようなことを言われた気がして、ストローでちまちま飲んでいたんです。
そしたら「駄目だよ。僕がおごるんだから一気に飲んで!」と言われてしまって、「これは飲むしかないな…」と、気合を入れて飲み、その後も言われるがまま飲み続け、どうやって帰ったのかも思い出せません(笑)。怖かったですね。言葉が分からないのにお酒の場に行ってはいけないなと、いい教訓になりました。
――そんな愉快な(?)メンバーは、上遠野さんの演技を絶賛されていたそうですが、あらためてほかのメンバーとご自身の演技を比べてどう思われますか?
いや~比べてしまったら…もう、僕なんかと比べられてしまってごめんなさい!って感じです。彼らは本当に小さいころからやっていて、世界各地のバレエ団でもやられている方たちですから。対して僕は数カ月ちょっとかじったくらいなので、バレエの技術に関しては比べるのもおこがましいレベルだと思います。
ただ、僕なりに技術に関して足りないのは分かっていたので、少なくとも舞台の上ではちょっとした動きはできるだけ繊細に、「バレエをやる人間」に見えるようにすることを心掛けました。おかげで最低限、同じ舞台に立っても見劣りしないようにできたかなと思います。
ただ、今回の公演前にはじっくりと稽古する時間がなかったんです。前回は一つの細かい動作も時間をかけてできたのですが、今回はできていないので、意識を高めてやらないとと思っています。
1年半近くたっているので、少しずつ思い出し、一つ一つ詰めていかないと。前と同じ演目をやる以上、前よりも高いレベルのものを皆さんにお見せしないといけないので、それは意識してやっていきたいですね。
【上遠野太洸「“人間のクズ”を演じてみたいです」へ続く。同記事は11月8日(日)朝8時掲載予定】
【HP】www.taikoufc.com/
「『男だけのバレエ団』GRANDIVA グランディーババレエ団ジャパンツアー2015」
11月7日(土)茨城 取手市民会館 開場昼3:30 開演昼4:00 ※プレ公演
11月8日(日)東京 新宿文化センター 開場昼3:30 開演昼4:00
11月10日(火)神奈川 横浜・関内ホール 開場昼2:30 開演昼3:00
11月10日(火)神奈川 横浜・関内ホール 開場夜6:30 開演夜7:00
11月11日(水)東京 Bunkamuraオーチャードホール 開場夜6:30 開演夜7:00
11月13日(金)大阪 グランキューブ大阪 開場夜6:30 開演夜7:00
11月15日(日)福岡 北九州ソレイユホール 開場昼4:30 開演昼5:00
11月16日(月)熊本 熊本県立劇場 開場夜6:30 開演夜7:00
11月18日(水)愛知 名古屋市公会堂 開場夜6:30 開演夜7:00