池上彰「羽生くんのスケートにはドラマがある」
人気ジャーナリスト・池上彰がニュースでこの1年を振り返る年末特番「2015年 池上彰が選んだ重大ニュース総ざらい 年末特大SP」(テレビ朝日系)が、12月29日(火)に5時間にわたって放送される。
ドローン、白紙撤回、類似疑惑、データ改ざん、放送法、イスラム国…。'15年を象徴する事件や事故、注目の的となった人物の言動、世間を騒がせた不祥事や疑惑が、歴史的に今後どのような意味を持つことになるのか、過去の出来事と比べながら広い視野で考察し、池上が'15年を締めくくる。
また、「そういえばそんなニュースもあった」というトピックを集めた「あったあったニュース」もVTRを交えて紹介する。
'15年の池上は例年に増してテレビ出演、講演、講義、取材、執筆活動など、多岐にわたって大活躍。忙しさのあまり「自分を見失うんじゃないかとの思いに駆られた」と言うほどで、「目の前の仕事をやる。ひたすらそればかり考えていたら、1年が終わっていたという感じです」と、反省しながら振り返った。
そんな超多忙の池上が、年末特大スペシャルの収録直後に取材に応じ、'15年起こったさまざまな出来事の中から「喜・怒・哀・楽」をテーマに、4つのニュースを選定。独自の視点で'15年のニュースを振り返った。
●「喜」
「羽生結弦選手の世界歴代最高得点でしょう。あれは見事! 朝から速報でこれまでの記録がさらに更新されたと伝えられたでしょ。そうなると、やっぱり見たくなりますよね。普通、スポーツは生のドキドキ感を楽しむもの。今回は事前に羽生くんが優勝すると分かっていて、そのドキドキ感はないのに、それでも面白かった。
あの興奮は、歴史を題材にしたミステリーに似ていると思いました。例えば、シャルル・ドゴールの暗殺計画を描いたスリラー小説があるんですが、ドゴールは殺されていないわけだから計画は必ず失敗すると分かっている。それでも、読んでいてハラハラドキドキするんですね。羽生くんのスケートにはそんなドラマがありましたね」
●「怒」
「『イスラム国』によって後藤健二さんが殺されたこと。身代金を払わなければ殺害するという予告が出ていたにもかかわらず、何もすることができなかった。しばらく無力感に苛まれ、立ち上がれませんでした。『イスラム国』はその後も残虐なことをやり続けている。何とかしなければいけないと思います」
●「哀」
「少年少女が被害者になる事件が相次いだこと。特に寝屋川で中学生の男女が夜中までずっと街を歩いていて、結局殺されてしまったのは悲しい事件でした。子供が被害に遭う事件そのものは、数が減っているんですね。
しかしながら、根絶できないのは、社会が無関心になっていたり、声を掛けたら逆に怪しく思われたりしてしまう状況があるから。どうすれば社会全体で子どもたちの犠牲を減らすことができるのか、あらためて考えなければいけないきっかけを与えてくれた事件でした」
●「楽」
「個人的には、黒田(博樹)投手が(広島東洋カープに)戻って来てくれたこと(笑)。おとこ気を見せてくれました!」
なお、「イスラム国」問題や少年少女の事件ついては、番組内でも池上が徹底解説する。
「イスラム国」については北アイルランド紛争やアメリカ同時多発テロとの比較、少年少女の事件は、少年少女が加害者になる事件、被害者になる事件に分け、それらの犯罪と密接な関係にある教育に言及しながら、大局観的にニュースを総括していく。
12月29日(火)夜6:30-11:30
テレビ朝日系で放送
「池上彰のニュースそうだったのか!!」
毎週土曜夜7:54-8:54
テレビ朝日系で放送中