スペシャ新イベントで4組が白熱のパフォーマンス!
スペースシャワーTVが主催する、新たな音楽とカルチャーの祭典「TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016」。その一環として、ライブイベント「SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY」が2月23日、東京・渋谷WWWにて開催された。同イベントの模様をリポートする。
「SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY」は、独創的な音楽性を十分に発揮し、独自のスタンスで'15年の音楽シーンで注目を集めたアーティストで構成されたライブイベント。
昨年リリースされたアルバム「Obscure Ride」が多方面で絶賛され、注目を集めていたceroは、メンバーの体調不良によりキャンセルとなったが、個性豊かな4組が東京の夜を熱く盛り上げた。
まずLOUNGE STAGEに登場したのは、プロデューサー兼マルチプレーヤーの梅谷裕貴によるソロプロジェクト・Albino Sound。狭いステージに立すいの余地なく詰め掛けた観客を、クールなシンセサウンドと四つ打ちを基調としたアタックの強いビートで踊らせる。
PCとシンセサイザーに加え、時折TENORI-ONなどを駆使したハイスペックのサウンドは、昨今はやりのEDMのように即効性のあるサウンドとは趣が異なるものの、楽曲一つ一つをじっくりと積み重ねていきながら、後半の熱狂に導いていく。
上音はクールなままに、パーカッシブなビートで煽り立てたかと思えば、音を重ねて盛り上げていきながらアンビエント風のサウンドに流れ込むなど、緩急自在の陶酔感あふれるサウンドで見事に場を温めていった。
わずかな転換時間の後、MAIN STAGEに登場したのはD.A.N.。昨年FUJI ROCK FESTIVALにも出演した期待のニューカマーを一目見ようと、出入り口付近までぎっしりと観客が集結。
この日はキーボードやスティールパンを担当するサポートメンバー・小林うてなを加えた4人編成でのライブ。「いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウ」をクラブサウンドで追求しているという彼らは、一貫したダンサブルなビートで観客を盛り上げていく。
スティールパンの音色や巧みなエフェクト処理も相まって、シンプルなリズムにおいても多彩な顔をのぞかせる彼らのサウンド。それでいて、必要以上に熱を上げないスタイリッシュな佇まいも魅力的だ。どこか80年代のポストパンクなどにも通じる、享楽的でありながらも退廃的な風合いも感じさせる。
MCでは、4月に初のアルバムをリリースすることを発表。桜木大悟(Gt,Vo,Syn)が「(レコーディング)頑張ったよな?」と言えば、川上輝(Dr)も「僕らのソウルが…」と控えめにアピールし、観客の笑いを誘っていた。
後半の「Time Machine」では、ダブをそしゃくしたような緩いビートの上で、スティールパンの音色が優しく響いていく。そんなサウンドに合わせて、多くの観客がゆらゆらとビートに身を任せていた。最後はアーバンな「Pool」で締めくくり、満員の観客を大いに沸かせた。
続いてLOUNGE STAGEに登場したのは、北海道出身の女性トラックメーカー・Qrion。高校生のころからEPをリリースし、'14年にはカナダ人プロデューサー・Ryan Hemsworthとのコラボ曲をリリースするなど、海外からも注目を集めている。
「清らかな美人DJ」といった佇まいの彼女は、ボーカル入りのややポップなトラックからスタート。ロックファンにもすんなりと受け入れられるような聴きやすさで観客を魅了する。
前半はダンスミュージックらしいリズムやビート重視の楽曲とも異なり、シンプルなビートと心地いいメロディーを重視しているような印象だったが、後半は打って変わって、ビートを前面に押し出したサウンドに。PCの動作音などをサンプリングしたナンバーなど、遊び心を見せつつ観客をアゲていく。
終盤は前方の観客が曲に合わせてシンガロングするなど、フロアを大いに沸かせた彼女。観客の盛り上がりに応えるかのように、控えめに乗ってみせるその姿もキュートだった。最後も控えめに両手を合わせてお辞儀をし、プレイを締めくくった。
この日のトリを務めたのはOGRE YOU ASSHOLE。さまざまな音楽の要素を取り込んだ唯一無二のサウンドを奏でる彼らは、昨年活動10周年を迎え、ますます精力的に活動している。
「あ、どうもOGRE YOU ASSHOLEです」という出戸学(Vo,Gt)のシンプルなあいさつとともに、ライブは新曲からスタート。ジャーマンロックなどの影響をうかがわせるミニマルな演奏と、リバーブ強めの浮遊感あふれる緩やかなサウンドで、あっという間に場の空気を支配する。
ともすれば不気味な詞世界と、つかみ所のないサイケデリックなサウンドが淡々と続きながらも、観客は飽きるどころか一音たりとも聞き逃せないというように聞き入っていく。
「見えないルール」では終盤、馬渕啓(Gt)がギターを豪快にかき鳴らし、静かに聴き入っていた観客たちもここぞとばかりに歓声を上げる。一見緩やかで心地良く聞こえる彼らのサウンドだが、ある種ぜい肉をそぎ落としたかのようなその音には緊張感すら感じさせる。
ラストの「ワイパー」では、シューゲイザーのような轟音を響かせながら終了。シンプルな4ピースとは思えないほどの音のレイヤーを感じさせる、緻密なアンサンブルは見事だった。観客からは熱烈なアンコールが起きるも、「出し惜しみは無い」とばかりにそのまま終了させる潔いライブとなった。
なお、イベントの模様は3月27日(日)夜10時より、スペースシャワーTVにて放送される。
3月27日(日)夜10:00-11:00
スペースシャワーTVにて放送
※4月にリピート放送の予定あり
TOKYO MUSIC ODYSSEY 2016 関連イベント
「SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION」
3月4日(金)朝11:00-夜7:00
3月5日(土)朝11:00-夜8:00
3月6日(日)朝11:00-夜7:00
東京・渋谷 space EDGEにて開催
【HP】tokyomusicodyssey.jp/art/
スペースシャワーTV
http://www.spaceshowertv.com/