「ぼのぼの」の主題歌を歌う、桃野陽介にインタビュー
4月2日(土)から放送されるTVアニメ「ぼのぼの」(フジテレビほか)の試写会が行われ、原作者のいがらしみきおと、山口秀憲監督、主題歌を担当するモノブライトのボーカル・桃野陽介が登壇した。
「ぼのぼの」は、'86年から「まんがくらぶ」「まんがライフ」(いずれも竹書房)で連載が続く、累計発行部数900万部を超える人気コミックス。変なことや不思議なことに興味を示してしまうラッコの子ども・ぼのぼのを中心に、ゆるくてかわいいキャラクターたちが生きることの真理をゆったり感じたり、見せてくれたりする作品。
そして連載30周年を迎えるタイミングでテレビアニメが決定した。
主題歌を歌う桃野は「物心のついた時から『ぼのぼの』という漫画あったので、僕にとっては歴史的なものに歌を作るという感覚で、奈良の大仏に曲を作ってくださいと言われたのと同じだったんです(笑)」と、曲を任された時の気持ちを述べた。
楽曲を聴いた山口監督は「歌詞に『ぼのぼの』という言葉が出てきたのがすごくうれしかった。最近そういうテーマ曲を持つアニメって少ないので。聴いていてすぐ口ずさみたくなる、すごく作品と合っている楽曲です」と、印象を語った。
原作者のいがらしも「監督がこの曲に決定という雰囲気で持ってきたので、ハードル上げて聴いたんです。そうしたら高く上げたハードルを楽々と超えた。何より桃野さんの歌声がいい声で大好き!」と大絶賛。
そんな監督も原作者も太鼓判を押す1曲を手掛けた、「ぼのぼの」の大ファンという桃野にインタビューを敢行した。
――「ぼのぼの」の魅力と、その主題歌を担当することが決まったお気持ちは?
大人になった今「ぼのぼの」を読んで思うことは、ぼのぼのが言っていることや気持ちって子どものころは誰でも、感じていて発していたことなんです。それがいつの間にか、いろんな知識が入って感じなくなっていく。「ぼのぼの」を読むと『転がってる石がどこから来て、どこに行くんだろう』とか、大人になって考えるのをやめたことを思い出させてくれる。そういうところが好きなんです。
そんな「ぼのぼの」の曲を作ることが決まった時、僕は使命感に駆られたんです。というのも、僕は北海道根室市の生まれで、普通に街の中にシマリスがいて、海にはラッコがいて、アライグマが出てくる「ぼのぼの」の世界のような環境で育ったからです。そんなミュージシャンって日本全国で僕だけなんじゃないかなと思うんですが、生活感などは、ロック・バンドとしてのモノブライトでは出していなかったんで、そういう意味では自分らしさを出せました(笑)。
また今回のお話をいただいた時、今までやってこなかった、アコースティックなものをやってみたくなったんです。「ぼのぼの」は、新しいことにチャレンジできる良いテーマでした。
――子どものころから「ぼのぼの」のファンの桃野さんには、当時アニメを視聴していた子どもたちにトラウマを与えたキャラクター・しまっちゃうおじさんのような怖い存在や、出来事などはありますか
おやじが怖かったですね。日常怒ることはないんですけど、おやじが怒るというのは、しまっちゃうおじさんが出てくるのに近い恐怖がありましたね。子どものころ、おやじに怒られた時、無言で僕を担いで夜道を歩くんですよ。僕は『離して、離して!』って泣いてるんです。何も言わずに、何もされずに家に戻って来るんですけど、今でもその時の恐怖心っていうのは覚えていて、しまっちゃうおじさんを見るとそれを思い出しますね。先の見えない恐怖というんですか、しまっちゃわれた後どうなるんだろうみたいな(笑)。
でも何より、地元には街灯がないんです。だから夜になると本当に闇。ヒグマとか出てきちゃうので、本当に怖かったですよ(笑)。
――「ぼのぼの」に自分が登場するとしたら、どんな動物になっていると思いますか?
僕はよくカピバラに似てるねって言われるんですが、カピバラの情報があんまりないので、やっぱりウシだと思うんですよね。歌い方も、ウシの鳴き方じゃないですけど、ゆったりした感じを出しているので。
でも感覚的にはアライグマ君でいたいです。マイペースな空間の中で、ちゃんと視聴者側の目線でツッコんでいて、実は一番まともな存在で、理想としてそうありたいです。音楽を作る上でも、聴き手のことを考えて曲を作っているので。
――4月20日(水)に、ニューアルバム『Bright Ground Music』がリリースされますが、こちらの聴きどころを教えてください。
モノブライトが3人体制になってから、初めてのアルバムで、より自分のリアルな日常を描こうと思いました。
今までは派手にやるとか、ポジティブにやるということが多かったんですが、このアルバムは、“日常で聴いていて染み込むメッセージと音楽”というのがテーマになっています。
僕はテレビのニュースを見ながら、テレビと会話をする形で不平不満を言ったりすることもあって。あとは、ファミレスで曲を作っているんですけど、入ってきた年齢差がすごいありそうなカップルを見て、2人のなれ初めを勝手に想像してみたりしているんです。
こういったことを表立って言ったりしてなかったんですけど、そういった自分を隠さずに歌った今回の作品は、日常にはまるアルバムに仕上がっています。
僕が「ぼのぼの」を読むときは、パッと開いたページから読んだりしているんです。でもそれがその時の自分にはまる話だったりするんです。
今回のアルバムもそれに近いところがあって、曲順の通り聴いてもらうのが一番なんですけど、アルバム11曲の中にはその時の気持ちに合うものがあると思うので、ランダムで聴いて楽しんでもらうのもお薦めです。
4月2日(土)スタート
毎週土曜朝4:52-5:00
フジテレビで放送
アニマックスでは5月8日(日)より毎週日曜朝10:30-10:38に放送、
フジテレビオンデマンドでは4月2日(土)より毎週土曜朝5:00配信
【HP】www.bonoanime.jp/
モノブライト最新アルバム『Bright Ground Music』
4月20日(水)発売
2700円(税抜)
【HP】www.monobright.jp/