村井良大、武田梨奈の誘惑に「満点」/ドクムシ対談(前)
映画「ドクムシ」が、4月9日(土)から東京・新宿ピカデリーほか全国の劇場で公開される。村井良大、武田梨奈がダブル主演を務め、劇団EXILE・秋山真太郎や駒木根隆介、水上京香など、注目の若手俳優陣が名を連ねている。
原作は、'13年に投稿コミュニティーサイト「E★エブリスタ」にネット小説として投稿された八頭道尾の「コドク~蠱毒~」にオリジナル要素を加えて漫画化した「ドクムシ」。電子コミックでは350万ダウンロードを超える大ヒットとなった。
ある日突然、閉ざされた学校内に男女7人が監禁される。食料はなく水のみで、電光掲示板に示された残り時間は約1週間。蠱毒(こどく)を連想させる状況の中で飢えと恐怖が押し寄せ、互いへの疑惑が増幅し、彼らは徐々に理性が侵されていく。
R-15指定となる映画版では、原作の持つ残酷性をより膨らませる形で描かれ、現代日本の社会性をストーリーに反映。小説、コミックとは違うラストが用意されている。監督は朝倉加葉子。2週間限定の劇場公開の他、同日から「niconico」ネットシネマでも配信される。
村井は理性と本能の間でぎりぎりの葛藤を迫られる大学生のレイジを、武田は女を武器に使って生き延びようとするキャバクラ嬢のアカネを演じる。2人に作品への思い、撮影秘話などを聞いた。
──完成した作品を見た感想から聞かせてください。
村井:異色の作品ですし、怖いところもあるけど、久々に見た“エログロ作品”かなって(笑)。R-15ってなかなか出たことがないので。PG-12くらいだと分かるんですけど、R-15の血しぶきな感じとかグロい画があるけど、すごくグロいだけでなくオチもあるし、作品の内容としてはすごく魅力的だなって思いましたね。
武田:漫画を最初に読んだ時に、「どうやって映像化して、どこまで描くんだろう?」っていう思いがすごく強かったので、完成したのを見て「自分たち、ここまでやったんだ!」っていうのが、最初に見た時の感想ですね。
村井:結構真っ暗な中で撮影していたので、撮影中は(完成した時の)イメージは分からなかったんですけど、結構いい感じに闡明(せんめい)しつつも“蠱毒”のつぼの中という感じがあって、それがすごい映像としては面白いなって思いました。
──村井さんも原作を読まれたんですよね?
村井:漫画としても面白いですし、こういう内容を題材にした漫画って少ないと思うので、読んでいて新鮮でしたね。意外と最初は殺りく的なことは起こらないんですけど、人ってこういうふうにどんどん壊れていくんだろうなって微妙な過程があったりして。当時、似たような話を舞台でやっていたんですよ。密室になって殺し合いをしなければいけないという。こういう作り方、こういうやり方もあるんだなって思いながら見てましたね。
中でもアカネはすげえなって漫画の中では思っていて、こいつの生き残ろうとする感じは尋常じゃないなって。実際にいたら怖いなって思いましたね。
──7人の中でアカネが一番いろいろな表情を見せていますね。
武田:特に女という物を武器にする役でしたが、ただ男性を誘惑するだけでなく、生き残るためというテーマに、重みをどう表現するかが難しかったですね。
──レイジの感情の変化も興味深かったです。
村井:ストレスの爆発なんだろうなっていうのと、ストレスをストレスと捉えられなくなる。あと食べ物を食べてないですし、人間を(精神的に)壊すって簡単なんだなっていうのが感じられるというか。自分が同じ立場になってもああなるだろうなって。最後も人としての普通の感情がまひしてきて、分からなくなってくる。全てにおいて絶望するし、全てにおいて受け入れなきゃいけなくなっちゃうし、人間が怠惰していく姿って、あれぐらい何もない状態が続くのかなって思いましたね。
──武田さんは実際に同じような状況に遭遇したらって考えましたか?
武田:もし一人で生き残っても、自分のしたことが絶対に残っているので、考えたくないですね。
──役作りをする上で、朝倉加葉子監督に言われたことはありますか?
村井:僕は普通の役なので(笑)。逆にいえば、あまり個性を出さずに素直にその状況に従っていくという役だったので、そんなに役作りというのはなかったですね。大学生の役作りといってもリポートに追われるわけでもないので(笑)。他の方たちの方があったでしょうね。
武田:私は「男性を本気で誘惑してほしい」と常に言われてました。しかも、誘惑の仕方がちょっと独特じゃないですか。相手も信じてくれていない、誰のことも信じられないという中で、好きとは違う誘惑でどうやってこっちに持ってこさせるのか。その勝負のシーンは特に監督から要求がありました。
──誘惑を受けた側としては?
村井:満点だったと思います。
武田:ありがとうございます(笑)。
村井:難しいよね。100%誘惑するとばれちゃう感じがするし、その中で弱いところを見せないと男の人が守ってあげたい気持ちにならないから。そのバランスが難しいだろうなぁって。
武田:そうですね。そういうシーンの時も、あまりテストで何回も重ねてないじゃないですか。
村井:そうだね。
武田:私の誘惑する演技に対して、(村井さんから)どういう受けが来るのかなって分からなかったんですよ。それはお芝居に限らず、普通に喋っていてもそうですけど、村井さんはすごく受け止めてくれるというか、ちゃんと返してくださいました。なので、当初の迷いはなくなりました。
村井:へ~。
武田:受けてくれたから、そこからまた気持ちを高めることができたので、素晴らしいなって。
村井:ありがとうございます(笑)。まあ、返ってきた方がうれしいよね。その方が次こうするってなるし。攻めても攻めても何もないのもね。
【「村井良大が気になる武田梨奈の飴/ドクムシ対談(後)」へ続く。同記事は4月6日(水)朝11時掲載予定】
4月9日(土)から東京・新宿ピカデリーほか全国で2週間限定公開
※同日から「niconico」ネットシネマでも配信
【HP】live.nicovideo.jp/watch/lv251463731
出演=村井良大(レイジ役)、武田梨奈(アカネ役)、秋山真太郎(ユキトシ役)、水上京香(ユミ役)、宇治清高(トシオ役)、野口真緒(ミチカ役)/駒木根隆介(タイチ役)
【HP】dokumushi.jp/