捜査一課長の“右腕”金田明夫「自分で気付かないと駄目」
毎週木曜に放送中の木曜ミステリー「警視庁・捜査一課長」(木曜夜8:00-8:54テレビ朝日系)で、主人公の捜査一課長・大岩(内藤剛志)の“右腕”とも言うべき管理官・小山田を演じる金田明夫にインタビューを行った。
【捜査一課長の“右腕”金田明夫「連続ドラマは長距離走」より続く】
――役と本人がリンクしているということですか?
そうそう、そりゃあ昨日今日でやっている子たちには負けませんよ!(笑) 内藤さんは安易な言葉で「いぶし銀」なんてもんじゃないですから。斉藤由貴ちゃんだって、僕らより若いけどすごく芸歴が長いじゃないですか。それに内藤さんは、常にすごく考えているんですよ。「次のせりふなんだっけ?」じゃなくて、このせりふが出てくるにはこうだよね、ああだよねって。それに触発されて、僕も考えたふりをしているところです(笑)。
それはうそですけど、そういう現場ってみんなが一生懸命に考えようとするんです。それにとにかく明るい。厳しくしちゃうと駄目なんですよね、役者って「こうしろ!」って言われるんじゃなくて、自分で気付かないと肉にも骨にもならないので。僕らくらいの年齢になると、そういう境地になるんですよ。言うのは簡単ですけど、自分で気付かないと駄目。だから、僕は今でも新しい発見ばかりで楽しいですよ。
――金田さんは台本の覚え方が特殊だと聞きましたが、どういう覚え方なんですか?
台本を覚えるのには何段階もあるんです。由貴ちゃんみたいに、す~っと覚えられる人はいいんですけど、僕はそうじゃないので(笑)。刑事のせりふって難しいですよ。間違えてはいけないし、アドリブで「でもさ、あのさ」のような言葉は発しちゃいけない。報告はきちんとしないといけない、そのまませりふを覚えて「はいOK」じゃ駄目なんですよ。全部読んでいないと流れが分からないですし、読んでいくうちにここで何を言うかが分かってくる。せりふとして覚えるというより、自然な流れで自分がこの場面で何を話すかというのが大事になってくるんです。
そういう意味では、3段階くらいあるんですよ。まずは一通り読む、そして人のせりふも含め全て読んで録音する。録音を再生してある程度覚え、また読む、覚える、その後、自分のせりふの手前で録音した音を止めるんです。そうしたときにきちんと自分のせりふを喋れるか試す。
「シーン●●、小山田が報告のために入ってくる」で一回止めて、ちゃんと自分がせりふを話せるか。あとは、相手のせりふ終わりでいったん止めて喋れるか。だんだんできるようになってくるんですが、膨大な量なので最後にはメモ帳に書いて、「てにをは」を間違えないようにしています。僕の場合はバレるんです。僕のせりふは結構早いので、せりふを忘れたときに「あ~ん~」ってごまかして持ち直せないんです。ダー!っていってドーン!って散る(笑)。それはもう、ものの見事にNGになるんです。「しかしあれですね、あの…」とか言って持ち直せないんです。それをやると「金田はせりふ忘れているな?」って気付かれちゃう。走り出したら止まらない。
――刑事ドラマにもたくさん出ていらっしゃいますが、警察用語など、ついプライベートで出たことは?
流石にそんなことはないですよ(笑)。でも、被疑者とか死亡推定時刻とか、ご遺体は…とかは普段から言う機会もありますけどね。ご遺体は…はないか。普通の人なら人生で何回も言わない言葉ですが、僕は芝居で何回も言っているので不思議な感覚ですね。
――そういうものですか。例えば「次はTBSに臨場だ!」とかは言わないですか?(笑)
いやいや、言わないですよ。でも、それ面白いですね(笑)。今度使ってみようかな。あ、でも時代劇をやると言葉が出ますね。「さすれば!」とか、今思うと何を言っているんだ?って話なんですけど(笑)。
――お仕事の話を離れて、今お休みの日にされていることでハマっていることは?
何もないです(笑)。だいたい役者は、ボケ~としているんだから(笑)。だらしなく、朝から晩まで。僕なんてスマートフォンで1日何歩歩いたかの記録を付けているんですけど、ひどい日は1日5歩とかだったりしますからね。もちろん持ち歩いていないときもあるけど、寝るまでで5歩しかない。一体何をやっているんだろうって。ずっとボケ~っとしていますよ。
でも、もともと芝居を見るのが好きなんです。芝居を見て勉強しているということじゃなくて、興味があると止まらない。例えば、今はロバート・デ・ニーロがいいなと思っているんですが、そう思うとデ・ニーロの作品を探す。彼が今の僕と同じ年のときはどんな芝居をしていたのかなと。探して見てみると、このあたりから変わってきたよな~などと感心したり、新たな発見があったりします。
一気にシリアス路線から転換したなとか。そして最近の「マイ・インターン」につながって、次回作も面白いらしいんですけど、名優の歴史をさかのぼるのは楽しいですよ。今ってamazonで簡単に買えて便利じゃないですか。女房のパスワードと、メールアドレスを知っているんで(笑)。僕は自分のお金を出さないんです。
――それは奥さんにばれないんですか?(笑)
いや、バレていると思いますよ。でも、そっと見守ってもらっている。強いて言えばネットを見ていることが今は楽しいですね。あと、マイブームじゃないですけど、小説を読むときは読む、映画を見るときは見る、何もしないときはしない、って結構はっきりしています。
――最後に作品の見どころを教えてください。
このドラマは“スーパーマン”がいるドラマじゃありません。事件や悪を憎む刑事たちが一生懸命事件を解決していくさまを描く。それも一瞬のひらめきとかそういうんじゃなくて、地道に一つ一つ事件を追っていくんです。
内藤剛志のすごいところが、そうやってあえて自分をスーパースターにしないようにしていて、みんなで解決していくように仕向ける。サラリーマンというか、真面目に会社勤めしている人たちが働く“生きざま”みたいなのを見せている。それを家でフォローしてくれる奥さん、見守る上司、彼の一言で一生懸命動く部下たち。たった一つ、死亡した人のために事件を解決する、という目標のために、これだけたくさんの人が動いているってある意味崇高ですよね。
残された人のためにどうするかを常に全力で考えています。面白いドラマだと思いますので、楽しみにしていてください!
毎週木曜夜8:00-8:54
テレビ朝日系で放送