波瑠「あさが来た」は2度とないほどの濃密な時間
“朝ドラ”史上、今世紀最高の視聴率をたたき出した「連続テレビ小説『あさが来た』」('15-'16年NHK総合ほか)。
週刊ザテレビジョン主催の第88回ドラマアカデミー賞でも、作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、監督賞、ドラマソング賞の6冠に輝いた。「あさロス」「五代ロス」などの言葉も生まれ、連日、大きな話題となった本作で、ヒロイン・白岡あさを演じた波瑠があらためて本作について語った。
「普通のドラマだと2クール分という長い期間、見守っていただけたことはうれしいです。いろんなニュースが流れて驚きましたが、撮影中、自分たちはある意味隔離された世界にいる感じで、出演者の方たちと一喜一憂することはなかったんです」
炭坑、銀行、女子大学校…次々と新しい事業を立ち上げていったあさの一生涯を演じ切ったことに「人生のさまざまなステージを色濃く演じた」「役にはまっていた」という賞賛の声も多い。
「周りの環境がどんどん変わっていく中で、あさも変わっていく部分もあるべきだし、変わらない部分も必要だなと思って。あさはどんどん成し遂げてしまうので、肩書きを見たらすごい人になってしまう。そんな中でも、幼い一面や至らないところが変わらず、あることが大切だと思いながら演じていました」
そんなあさの生涯を演じる上で、スタートとなる少女時代の芝居には最も気を使ったと明かす。
「ゆくゆく成長していくあさの少女時代となると、簡単に演じられないと思ってやっていました。商いや学問に興味を持つ利発な子だけれど、外の世界を知らない14、15歳の女の子をリアルに投影するために、いかにも賢そうなお芝居はできないと思って。
でも、好奇心旺盛で気が強い性格なのでギアは上げなければいけない。賢い子に見えていないんじゃないかっていう心配はありました(笑)」
視聴者の心を最も揺さぶったのはあさと新次郎の夫婦の形だろう。
「あさと新次郎(玉木宏)の夫婦を理想とする女性はすごく多いだろうなと思いました。私も仕事をしているので、旦那さんが支えてくれて、絆も深いことに憧れる部分はあります。めかけや炭鉱などいろいろな問題がある中でも、2人はどんどん仲良くなっていきますよね。
実は、新次郎があさのほっぺをつまむシーンは、玉木さんのアドリブも入っていたんですよ」
最終回前日に迎えた新次郎の死は、出演者にとってもつらい場面だったという。
「最終週の台本は、つらくて読むに読めなかった。読まなきゃいけないことは分かっているけど、読むと悲しくなってしまうし、その悲しいという動く心は本番までとっておかなければならない。覚えるために読むんですけど、何度も台本を閉じちゃうくらいつらい期間でしたね。
でもやっぱり夫婦の物語。大きな世界を羽ばたいていたあさが帰ってこられるのは新次郎だったから…という最後はとてもすてきな結末だなと思って、演じることも楽しみで。つらいのと楽しみなのとの葛藤でした」
「2度とないかもしれない」と表現する“朝ドラ”の濃密な時間を、彼女は懐かしそうに振り返った。
「すごい現場だったと思います。日々撮影を重ねていくことでしか私たちは結果を残せない。それを10カ月も続けるなんて、2度とないかもしれない。もちろん楽しいことだけではなくつらいこともありましたけど、『あさが来た』という作品を愛していたし、あさのことも大好きだったと今思えることはとても幸せです!」
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