ゆとりではない!? 太賀の“フルスイング演技”に注目
6月4日、東京・渋谷ユーロスペースで映画「走れ、絶望に追いつかれない速さで」の初日舞台あいさつが行われ、主演の太賀、小林竜樹、黒川芽以、監督を務めた中川龍太郎が登壇した。
本作は、史上初となる東京国際映画祭2年連続入選を最年少にして果たした、中川監督の実体験をモチーフにした青春映画。主人公の青年が、亡くなった親友の足跡をたどっていく姿が描かれる。
親友の死を受け止められずに苦悩する主人公・漣を演じた太賀は「僕自身は親友が死んでしまうという経験がないので、どうしたらこの役を演じ切ることができるだろうって考えました。撮影前に中川監督と一緒に過ごす時間がたくさんあって。酒を飲みながら青臭い話をしました。
役作りの一つのフックとしては、親友を亡くした当人(中川監督)と接していく中で、日々戸惑いながら生きているんだなと感じたことが大きかったです。監督を見ていて、僕も戸惑いながら精いっぱいこの作品の中で生きていけたらいいんじゃないかなと思いました」と、役作りの秘話を明かした。
一方、漣の親友である薫役の小林は、私生活でも太賀と仲良し。「親友役をやるに当たり、太賀くんとの普段の関係性に助けられた部分はありました。撮影に入る前や現場などでも一緒に作り上げていく感覚が楽しかったです。心掛けたことは、自分と薫は別人だということ。そういう意味では、太賀くんが常に漣でいてくれたのは心強かったですし、それだけで十分でした」と、親友との共演エピソードを披露した。
監督からの直接オファーを快諾したという黒川は「監督から、お手紙をいただきました。この仕事をしていて『あなたにお願いしたい』と名指ししていただけるなんて、ホントにうれしいこと」と感激のコメントを。「その情熱をしっかり受け止めたいと思いましたし、そういう作品に参加できて良かったです」と、喜びを語った。
隣で黒川の話を聞いていた中川監督は「もともと、亡くなった友人が黒川さんのファンだったんです」と、思いがけない告白を。「僕が“あの世”に行った時『黒川さんと仕事したよ』って自慢できるかな?」と、大切な亡き親友に向けてちゃめっ気たっぷりに言葉を投げ掛けた。
最後に、太賀は「フルスイングで、全力でやりました!」と、力強くアピール。「どうか、皆さんの心に届きますようにと、祈るばかりです」と、劇場に詰め掛けた多くの観客にメッセージを送った。
6月24日(金)まで渋谷ユーロスペースで上映。その後、全国順次公開予定。