内村光良“音が聞こえる小説”で「本屋大賞」を狙う?
内村光良が初の原作・脚本・監督・主演を務める映画「金メダル男」が10月22日(土)より全国ロードショーとなるが、映画公開に先駆け、4月から6月まで読売新聞夕刊にて連載された小説「金メダル男」が、6月25日に中央公論新社より文庫本として発売。文庫本の発売を記念して、「本屋大賞」を立ち上げに参画した嶋浩一郎氏(博報堂ケトル クリエーティブディレクター)を聞き手に、新宿文化センターにて発売記念トークイベントを実施した。
盛大の拍手が沸き起こる中、内村らが登壇すると「皆さん、本をお買い上げいただき誠にありがとうございます! 楽しいトークショーにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします」(内村)と、会場に招かれた紀伊國屋書店にて既に本書を購入済みの約180人の読者にあいさつすると、続いて嶋氏も「この小説『金メダル男』、私も楽しく読ませていただきました。きょうは本好き代表として小説の話を内村さんに皆さんの代わりに聞いてみたいと思っております」とあいさつし、トークイベントが始まった。
まずは、今回小説の執筆したことについての感想について問われると「小説を書くのは、20年ぶり('96年の「アキオが走る」以来)なのですが、小説だとやっぱり他とは勝手が違ったな」と率直な感想を述べ、「全て文章で見せなきゃいけない。戯曲なら舞台の演者が顔や動き、脚本なら映像で間を埋められるけれど、文章のみで全ての世界観を表さなきゃいけないという、描写を細かく書くというのが大変でしたね」と苦労を振り返った。
そして、内村が本作で描いた「あらゆる一等賞を目指し続ける男」という設定のある、主人公・秋田泉一というキャラクターについては「最初は舞台で『いろんな災難に合う人』を書こうと思ったんですが、そういう受け身の人ではなく、こちら側からあらゆる一等賞を目指すという能動的のキャラクターな方がポジティブでいいかなと思った」と、主人公が生まれるきっかけとなった秘話を明かした。
そしてキャラクターの魅力についても「浮き沈みが激しかったり、いろんな挫折を繰り返すキャラクターではあるんですが、一等賞を目指しているときの姿が一番イキイキしているので、そこをぜひ読んで感じてもらえれば」と語る。また、自身が一等賞を目指した経験について問われると「何かあったと思うんだけどな…油絵とかで取った気がします。すごく小さい規模で!クラス単位の小さい金賞」と答え、会場の笑いを誘う場面も。
さらに、聞き手である嶋氏から「主人公のようにいろんなものに挑戦するというのは、内村さんがお笑い以外にもいろんなものに挑戦されるというご本人に近い指向性があったりするのか?」と聞かれると、「自分の中では小説も舞台も映画もやはり『お笑い』という一本は通っていると思っている。『お笑い』という点では一貫性というものはあるかな」と、自身について振り返り、「逆にサラリーマンなどいろんな職種をやったり、いろんな一等賞を取るというのに憧れがあるんでしょうね。自分がお笑い芸人じゃなかったら、ダンサーだったら、違う職業だったら、という憧れを持って書きました」と答えた。
イベントでは終始、嶋氏が小説を絶賛し、これには内村も満足気な表情を浮かべながら「まるで音が聞こえる小説」と嶋氏が評した際には、「いやいや、私は小説に関しては本当に初心者なので…」と謙遜しつつも「その表現いいですね! ぜひそれを本屋大賞のポップに」と冗談を飛ばし、観客を盛り上げた。
最後に、映画公開に向け「映画版では、知念(侑李)君が私の若いころを持ち前の運動神経ですごく演じてくれて、とても良かった」と、内村と共に主人公・秋田泉一を演じる知念(Hey! Say! JUMP)を絶賛し、「これから宣伝活動をたくさんしていきますので、ぜひ楽しみながらチェックしてください!」とアピールした。
10月22日(土)公開