西島秀俊がパラアスリートへの思いを語る!
世界最高峰のパラアスリートの姿を追う大型ドキュメンタリーシリーズ、IPC×WOWOWパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」。東京でパラリンピックが開かれる2020年までの5年にわたり、約40人の選手たちの活躍ぶりや素顔を伝える同番組で、10/22(土)より第1シーズンの放送がスタートする。そのナビゲーター&ナレーターを務めるのが俳優の西島秀俊。同番組の見どころや、パラスポーツの魅力などを聞いた。
――「WHO I AM」のナレーションを実際に収録されてみて、いかがでしたか?
選手たちが競技をしている姿はもちろん、長期にわたって密着取材しているので、人となりや人生をどのようにエンジョイしているかが、よく描かれている。そんなところも見てくださる方に楽しんでいただけるのではないかと思いました。
――実際に選手にお会いしたり、映像をご覧になったりして、パラアスリートの魅力はどんなところだと思われましたか?
まず、オーラがすごいんですよ。先日、来日されたときにお会いした、オーストラリアのパラリンピック水泳代表のエリー・コール選手も、とにかく明るくて、周りを元気にする力にあふれていて、僕なんか圧倒されてしまいました(笑)。
――競技のことなども、何かお話しされましたか?
エリーさんは、日本の子供たちのために水泳教室を開いてくださったので、子供たちを教えられて、いかがでしたか、とお聞きしました。子供たちは、みんな素直で楽しかったとおっしゃっていましたね。日本が大好きなんだそうで、2020年の東京でのパラリンピックも、とても楽しみにしておられました。
――この番組は、パラアスリートやパラリンピックという枠を超えた、アスリートとしての強さを感じる作品です。その強さはどこからきていると思いますか?
ひとりひとりがキャラクターも信念も障害も違うし、記録を伸ばす方法もみなそれぞれなので、ひと言では言い表せないですが、みなさん人生を謳歌して楽しんでいますよね。スポーツと出会い、そこに情熱を傾けている。もちろん、そこにはたくさんの困難があって、想像を絶するようなトレーニングも重ねている。でも、そんな状況を楽しむことができる、それが“壁”を乗り越えていく強さなのかなと。
あと、家族やスタッフなど周りの方々の存在も、大きいと思います。エリー・コールさんも、僕は彼女のお母さんのファンになってしまったのですが(笑)、家族もコーチもすごく素敵なんですよ。選手を支えているみんなが、底抜けに明るくてポジティブな印象を受けました。だから、困難を乗り越えて強くいられるのだと思います。
――“自己肯定”というのも、この番組のテーマのひとつですよね。
アメリカの陸上選手のタティアナ・マクファデン選手が、初めて車いすに乗って「風を感じた」と言っていたのですが、初めてその競技に触れた瞬間の高揚感などを、みなさん番組のインタビューで話されています。それは、自分が情熱を傾けられる、打ち込める“何か”を探した結果なんだと思うんですね。それがやみくもに“自己肯定感”だとは言えないですが、何かを求めてそれをつかんだ瞬間に、彼らは一歩前に進んでいったのかなと思います。
――パラリンピックはロンドン大会以降、テレビ放送もされるようになり、広がりを見せていると思うのですが、パラスポーツの普及について、どう思われますか?
やはり、テレビなどで放送されるのを見て、その競技に触れることで、みんな何かを感じると思います。この番組を通じて、これからもどんどんパラスポーツが広がっていけばいいなと思いますし、実際に広がっていることを実感しています。
――2020年に向けて、注目されている選手や競技などはありますか。
車いすテニスの国枝慎吾選手は、応援したいと思いますね。リオはご本人にとっては残念な結果になってしまったと思うので、東京でぜひリベンジする姿を見たいです。
――最後に、“スポーツの力”について、西島さんの考えをお聞かせください。
スポーツには、人間の強さや能力や精神力の強さが、奇跡のように見える瞬間があって、僕と同じ人間が、こんなにすごいことを成し遂げるということに、とても感動します。人には、スポーツで浄化して一歩前に進める力があるということを、2020年にはぜひ東京で体感したいですし、みなさんにも感じていただきたいですね。
(取材・文=清水洋子)
パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM」
毎週土曜日夜9:00 WOWOWプライム