ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第92回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞 受賞インタビュー

撮影=西村康

吉岡里帆

最後までたくましく走ってくれそうで安心しました(笑)

最優秀助演女優賞おめでとうございます。受賞のお気持ちをお聞かせください
本当に光栄です。主役の方が輝くため、自分が作品の中にどう溶け込むことができるかを常に考えていますが、今回、こんなふうに光を当ててもらえたことに驚きと、感慨深いものがあります。頑張ってきて良かったと思いますし、嫌われるような役にも関わらず、皆さんが投票してくださったこと、作品を楽しかったと思ってくださったこと、本当に感無量です。ありがとうございます。
有朱のキャラクターは、SNSなどでも大きな反響がありましたね
すごく個性のある役をたくさんやらせていただいているので、いろんな反響はたくさん聞こえてくるんですけど、こんなに反応していただいたことは初めてでした。クラッシャーとして物語に組み込まれたというのが初めてなので、今までにない、すごく特別な役。それはすごく難しかったですし、「本当に嫌いだ」とか「本当に有朱ちゃん憎たらしい」と言われたりもして(笑)。すごくタフで芯の通ったトリッキーな役なので、演じていてすごく楽しかったですし、常に、ヒリヒリする感覚がありました。
有朱の〝かわいい顔の裏に潜む狂気〟には、誰しもがヒヤヒヤしていたと思います
有朱は家が貧乏なのがコンプレックスで、何とかしてお金を稼がなきゃいけないという焦りがある子。でも、本当はもっと素直でいい子に憧れているんです。カルテットの4人に対しての態度も、4人のあり方とか、仲間というものに憧れがあるからなんですよね。自分が誰かよりも劣っていても、みんなで仲良くいられたら、それだけで幸せなはずなのに、有朱は第1話から最終話までずっと孤立していたんです。ただ悪い子ではなくて、きちんと理由がある。そんな焦燥感を含ませられたらいいなとは思ってました。
〝目が笑っていない〟演技が、最も話題になったかと思います。演じるうえで、難しかったことや意識していたことはありますか?
恥ずかしいですが、鏡を見て練習しました。これかな?これかな?って、試行錯誤して。それで気付いたのが、目が笑っていないときは、そこに心あらずということなんです。有朱はすごく冷めきっていて、目の前で起こっていることに興味が持てない子だと捉えて演じていました。でも、その笑顔のお芝居をずっとしていたので、番宣の番組に出たときに、自分が完全に目が笑っていないことがあったんです。そのときは、どうすれば前みたいに普通に笑えるのかな?ってすごく困りましたね(笑)。
坂元裕二さんの脚本作に初挑戦となりましたが、脚本を読んだ印象はいかがでしたでしょうか?
自然とキャラクターの思いがこぼれ落ちるようなせりふばかりで、そこが一番感動しました。実は、ずっと坂元さんのファンで、作品を見てきたんです。特に「Woman」('13年日本テレビ系)は大好きで、あんなに切なくさせられることってないです。あとは「最高の離婚」('13年フジ系)の、ちょっとコメディータッチでテンポのいい雰囲気も。どの作品も言葉が秀逸で、巧みですよね。今回、私の一言のせりふも、捉え方がSNS上で拡散していくのは驚きましたし、すごくうれしかったです。
特に印象的なせりふはありますか?
いろいろあるんですが…やっぱり「人生ちょろかった」ですかね。最終話、有朱はもう出てこないかなと思っていたんですけど、突然出てきて「人生ちょろかった」って言って帰る。あれが最大の有朱の強がりだし、有朱は強がっていることでしか自分を保てないんだろうなと思います。あと、だいたい悪役って最後は成敗されるんですけど、有朱は最後までたくましく走ってってくれそうで安心しました(笑)。
カルテットの4人の関係を壊していく難しい役どころだったと思います。松たか子さん、満島ひかりさん、松田龍平さん、高橋一生さんとの共演を振り返ってみていかがですか?
松さん、満島さんは、今回ご一緒する前からものすごく尊敬していて、あんな女優さんになれたらいいなと思うお二人で、大好きなんです。でも、作品としての役割は決して仲良くならないですし、お二人に対してのリスペクトとか感謝とか、プラスの感情は絶対持っていてはいけないんですよ。本当はものすごくしゃべりたいし、好きだと言いたいんですけど、堪えていました…。
意識して距離を置いていらっしゃったのですか?
皆さんに対しての緊張感は、作品にプラスになると思ったんです。有朱は常に虚勢を張っているので、壁を作ることは大事だなって思っていました。代わりに、現場では台本を手にして、4人の皆さんの一挙一動、一言一言のせりふを、モニターで見ていました。皆さんがこのせりふをどう読むのかとすごく興味津々で。そばで見られるというのが一番のご褒美でしたね。それぐらい皆さんを尊敬しています。
緊張はされましたか?
一番緊張したのは、第1話の最初の共演シーンです。皆さんの前にグラスを置くだけなんですけど、ここから、皆さんとのストーリーが始まると思うと…、置く順番が分からなくなるくらい緊張していました。松さんから「目が笑ってないからじゃないかな」というせりふをもらった瞬間、「そっか、私、有朱じゃん!」とスイッチが入って、そこから緊張が解けていきました。
4人との共演シーンで、一番印象的だったものをお聞かせください
第5話の松さんと満島さんと対峙して、核心をついていくというシーンです。台本をいただいたとき、スタッフの方から「吉岡さんにとって、勝負のシーンになると思います。今後の芸能生活揺るがすぐらい大事なシーンになると思いますよ」って言われて、冷や汗が止まらなくて…。それから撮影まで半月あったんですが、ずっと緊張していて、せりふが頭に入っていても、毎日、台本を見詰めていました。撮影が終わってやっと、ご飯がおいしいと思いました(笑)。


よしおか・りほ='93年1月15日生まれ、京都府出身。「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」('16年フジ系)など出演作多数。'16年7月スタートのドラマ「ごめん、愛してる」(TBS系)にも出演
カルテット

カルテット

脚本家・坂元裕二が手掛ける、大人の人間ドラマ。都内のカラオケボックスで偶然出会い、弦楽四重奏団を結成した30代の男女4人の複雑な人間模様を描く。全く性格の違う真紀(松たか子)、すずめ(満島ひかり)、司(松田龍平)、諭高(高橋一生)の4人は、司の祖父が所有する軽井沢の別荘を拠点に週末、音楽活動を行う。

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