山崎育三郎インタビュー
――これまで久志を演じられてきて、久志の好きなところや共感するところはどこですか?
久志はいつも女性にウインクをしているようなキャラクターですが、幼少時代、母親との辛い別れもあり、実は寂しがりやで繊細な部分もあると思っています。
藤堂先生との出会いで音楽が好きになり、歌手となる目標をもって生きることができました。僕自身幼いころは人前が苦手で、母親が心配して近所の音楽教室に連れて行ってくれたのがきっかけで音楽と出会えたので、音楽に支えられてきたという面では共通しています。
また、新型コロナウイルスの影響で舞台に立てていない現在の自分と、第20週で歌が歌えなくなってしまった久志と重なる部分があるなと演じていて思いました。
――福島三羽ガラスの友情についてお聞かせください。
久志は明るく振る舞うことで自分を保つ部分がありますが、裕一と鉄男は本来の自分を受け入れてくれる、ありのままの自分でいられる場所であると思いますし、また、作曲家・作詞家としての尊敬もあり、とても良い関係だと思います。
撮影の間も窪田くん、蒼くんと3人でいる時間が多いんですけど、普段は、蒼くんが、大人しくて柔らかい裕一っぽくて、窪田くんが男らしい鉄男っぽいんですよね。撮影が始まった途端に逆になるのが、見ていて面白いです。
――第20週でも裕一と鉄男に救われますよね。
二人がここまで久志のことを思ってくれていたのだと実感しました。ここまで本気で怒ってくれる親友はなかなかいないです。熱い思いでぶつかってきてくれました。それでも久志はなかなか心を開けず申し訳ない気持ちがありましたね。それでも「久志目を覚ませ」と何度も訪ねてきたくれたのは、涙が出るほどうれしかったはずです。
――第20週では「栄冠は君に輝く」を歌う場面が印象的でしたが、撮影エピソードなどありますか?
僕自身野球をやっていて、伊藤久男さんの歌で「栄冠は君に輝く」を聴いていたのでその役を演じられると聞いた時はうれしかったです。
作品で久志として歌う時は、裕一に対しての感謝の歌だったのではないかなと思いました。球場で目の前いる裕一に対し、今まで久志のために動いてくれていたことに対しての感謝の気持ちを歌に込めたと思います。
高校野球で流れる時は、球児たちを応援する歌として定着している「栄冠は君に輝く」ですが、もともとは、作詞された方が足を怪我して、野球の道が途絶えてしまい、自分の思いを託すために作った曲で。そのため、劇中でアカペラで歌うときは、切ないバラードのように感じました。
――久志に密かに思いを抱く藤丸(井上希美)ですが、出会った当初と現在で印象は変わりましたか?
1番苦しい時期にそばにいてくれました。始めはけむたがっていたんですけど、それでも諦めずにそばにいてくれて。彼女の優しさ、母性に居心地の良さを感じました。ダメなところも全部受け入れてくれた藤丸の前では、素の自分でいられると思います。