渡辺謙、豊川悦司が見せる緊迫の逃走劇「謙さんの一挙手一投足をどうしても見てしまいました」<「逃亡者」インタビュー・前編>
次はどこを走らされるんだろうと…
――「相棒」シリーズなどの和泉聖治監督とはお二人とも初タッグとなりましたが、和泉監督の現場はいかがでしたか?
渡辺:台本を読んで、かなり壮大なことを考えていらっしゃるんだろうなと思っていましたが、そうでした(笑)。バスが転倒したり、爆破したり、バイクがクラッシュしたりするアクションだけでなく、僕が山の中を底の薄いスニーカーと囚人服で逃げ惑うシーンがありまして。監督が森のかなり奥の沢のところで助監督と話していて、何をしているんだろうなと思ったら、そこを走ってくれと(笑)。ですから、現場に着くたびに今、監督はどこにいるんだ? 次はどこを走らされるんだと常に監督の影におびえていました(笑)。
――撮影は12月でしたから、相当寒かったのでは?
渡辺:川に入るシーンではしっかり準備していたので大丈夫でしたが、装備をしていない時にも川に入ってくれと言われたので、それがなかなか(笑)。口では「はい!」と元気に返事をしていましたが、内心は「またかよ〜」と思ってました(笑)。
――豊川さんはいかがでしたか?
豊川:もっと怖い人とイメージしていたのですが、静かに淡々と進めていく印象だったので、「こういう感じなんだな、和泉組は」と思っていました。え? という演出も結構あって、保坂は強い感じの印象があるのですが、思っていたより柔らかく進めていかれました。