舞台「魔法使いの約束」丘山晴己&矢田悠祐インタビュー!「まずは役者が魔法を信じる」
「まほやく」は一筋縄ではいかないファンタジー
――お2人は、「魔法使いの約束」という作品自体にどんな印象をお持ちですか?
丘山 小説並みに細かなディテールに長けているというのが、まず一つの印象で魅力だと思います。1人のキャラクターでまた1本ストーリーができちゃうくらい、深いですよね! それぞれの魔法使いにストーリーがあって、しかもオズは約2000年、ファウストは約400年も生きている。だったら2人には400年分の関わりがどこかであって、普通では思い付かないくらいのヒストリーをシェアできているんじゃないかな。そのくらい深い作品だというのが印象的でした。
矢田 魔法使いと聞くと一見ファンタジーでハッピーな世界なのかなと思いがちですが、21章まで読んで、意外とそれだけではないのが印象的でした。現実では起こりがちな、人間と人間の対立だったり、自分と違う者を排除していく動きだったり…そういう毒の部分もあって、一筋縄なファンタジーではないなという印象でした。
丘山 それはありますよね。「魔法を使われたら困ることもあるよ」という一面もあって、リアルなストーリーでした。
――それでは、オズとファウスト、それぞれのキャラクターをどのように捉えていらっしゃいますか?
丘山 これからもっと深めていきますが、現時点での僕の認識で言うと、オズは最強で物静か、余計なことはあまり言わない。でも、その裏に何があるのか。ただ単にクールなキャラクターというだけじゃなくて、なぜ最強なのかという理由やバックグラウンドを見つけることが、役作りになるんじゃないかなって思います。
僕自身、普段は“陽キャラ”なんですけど、実際に演じる役はこういうキャラが多いんですよね(笑)。知的だったり、半分神様だったり、神様だったり…。ボソッとしか喋らず、その一言が論理的みたいな役が多いんです(笑)。喋らなければ、そういう風に見えるのかな。電車の中で僕を見たら、そっち系に見えるんだと思う(笑)。口を開いた瞬間「あ~、なるほどね」って感じなんでしょうね。
――一方のファウストはいかがでしょうか。
矢田 「陰気で人が嫌いな呪い屋」という、それだけ見るとネガティブなワードばかりですが、彼には彼なりに、人間に裏切られたという過去があるんですよね。僕の中では、人の気持ちが分かる、優しい人だなという印象です。優しいがゆえに人の心が分かるから、自分も傷付いたんだろうな、という。だから今はそういう振る舞いをしているんだろうという認識です。
役作りも、周りとの関係性で見せていくことになると思います。優しさを見せるなら、ヒースクリフ(加藤大悟)がいますし。あとは、バックグラウンドが分かる膨大なテキストもあるので、それを理解して自分の中に落とし込めば、おのずとできることはいろいろあると思います。
■舞台「魔法使いの約束」第1章
【期間・劇場】2021年5月14日(金)~30日(日)天王洲 銀河劇場
【原作】「魔法使いの約束」/coly
【脚本・作詞】浅井さやか(One on One)
【演出】ほさかよう
【音楽】坂部剛
【振付】本山新之助
【出演】
<中央の国>オズ:丘山晴己、アーサー:北川尚弥、カイン:岩城直弥
<北の国>スノウ:奥田夢叶、ホワイト:田口司、ブラッドリー:中村太郎
<東の国>ファウスト:矢田悠祐、ヒースクリフ:加藤大悟
<西の国>シャイロック:山田ジェームス武、ムル:橋本汰斗
真⽊ 晶(賢者):新正俊、クックロビン:星乃勇太、ドラモンド:平川和宏
ヴィンセント:今拓哉
ほか
【協力】一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会
【主催】舞台まほやく製作委員会
※舞台「魔法使いの約束」公式サイト
※舞台「魔法使いの約束」公式Twitter
(C)coly/舞台まほやく製作委員会