永山は、武家でありながら文才に溢れる種彦を演じたが、「種彦は武家の人間として、芸術を取り締まる立場ながら、北斎さんと作品を命懸けで発表し続けた人間」と評し、「現場で初めて田中泯さんとご一緒させていただいて。種彦と北斎さんの関係性のように、俳優であるとか、人間であるとか、そういった言葉以上のものを田中泯さんからたくさん頂いて。そこに田中泯さんがいるだけで、もう芸術なんだなとすごく感じました」と回顧。また、「今日、泯さんが作ったおみそを頂きました」と爽やかな笑みで報告した。
劇中では「絵で世界を変えられる」というセリフが出てくるが、「映画で世界を変えられるか?」と問われると、永山は「近所のおばさまが僕の作品を見てくださって。次の作品を楽しみにしてくれていて、僕の雑誌の切り抜きを見せてくれた時の笑顔を見て、僕はそのおばさまの生活を少しでも変えられたんじゃないかなと思いました」と最近のエピソードを披露し、「世界というか、その人それぞれの生活においての快楽や息抜きになるエネルギーは持ってると思います」と力強くコメント。
さらに、劇中で北斎がどんな困難な状況の中でも「こんな日だからこそ描く」と言い放ち、ただ真っすぐに描き続けていることにちなみ、「こんな日だからこそ、やり遂げたいことを教えてください」という質問も。
永山は「今は撮影現場に行っても、いろいろ気を使いながらお芝居をしますが、本番ではマスクを外して思いっきりセリフをはく。そして1カット1カット、スタッフキャストの皆さんで丁寧に作り上げていきますが、その上で僕はこんな日だからこそ、マスクを外して、誠心誠意芝居をして、日本の皆さんを少しでも明るい気持ちにできたらと思っています」と真摯(しんし)に語った。
◆取材・文・撮影=TAKAMI
5月28日(金)全国ロードショー
配給:S・D・P
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