青木柚のすごさを実感
――小梅のどこにそこまで惹かれたのでしょうか?
私の年齢から見ると愛おしく感じるキャラクターですが、もし同年代にいたら嫌な子だと思います。自己中だし、自分でいっぱいいっぱいで他の人のことは全然考えてないのに、そんな自分を否定しないし、ヘラヘラしていて中身がからっぽに見える。
でも、それだけじゃない。それだけじゃないものが何なのかわからないから、知ってみたくなったし、自分で体現したくなったし、他の人にやってほしくないとも思いました。
――その小梅を形作るために恵介という存在は必要不可欠だと思いますが、演じる青木さんについて聞かせていただけますか?
最初に青木さんを見た時に、ビジュアルがもう磯辺でずるいなと思いました(笑)。でも、おかげで世界観に入り込みやすかったです。磯辺は多くを抱える役なんですけど、それを自分だけで何とかしようとするところも磯部っぽくて。
だから、私はそんな青木くんの懐に入り込めないかと考えていたんですけど、それはまるで小梅の感情とリンクしていたんです。ですから、私が演じる小梅は、磯辺を演じる青木くんによって作り出されているなと感じました。
――青木さんはどんな人ですか?
役に対する責任感がすごく強い人です。キャラクターを大事にして、ツラいとか絶対に言わない。(磯辺という役を演じるのは)絶対ツラかったはずなのに。磯辺は一人のシーンが多かったので、こんなにいろんなことを抱えていたんだということをスクリーンで見て初めて知ったんです。
だから、完成したものを見て、改めて“青木柚”という人のすごさを感じましたし、青木くんが演じる磯辺だから愛せたんだなとも思いました。
8月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
配給:スタイルジャム
原作:浅野いにお「うみべの女の子」(太田出版)
監督・脚本・編集:ウエダアツシ
出演:石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴/村上淳
(C)浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会