中学生っぽい服が馴染むように
――当初は中学生ということで躊躇されたわけですが、すごく自然に演じていらっしゃいました。演じるために、何か準備したことはありましたか?
どうでもいいことかもしれませんが(笑)、自分の体が中学生よりは大きいなと感じたので、120cmぐらいの中学生っぽい服を買ってきて、撮影前から常に着てました。やっぱり漫画って視覚から得る力が大きいですし、私自身も印象的な浅野さんの絵から入ったので、そこに近づくためにできる限りのことはしたいなと思ったんです。でも、そうしたら、体が小さくなったのか、服が伸びたのかわからないですけど(笑)、馴染むようになっていきました。
――石川さんは、日常から役を作り上げていくタイプですか?
今はそうです。ちょっとした時に出る行動や表情に気付いて、そこから感じ入ってくださる方もいらっしゃると思うので、普段からやれることはやっています。
ひと捻りある役が多い石川瑠華
――すごいですね。しかし、実は石川さんは大学生になるまで映画に触れたことがなかったと伺いました。
はい。興味がなかったんだと思います。別世界だと思っていたので。だから、映画を見たこともないのに、ワークショップなどに行った時は“何だ、こいつ?”みたいな扱われ方をしました(笑)。最初は映画に興味があったから行ったのではなく、自分の欲からの行動だったんです。
承認欲求とか、人とは違うことをしたいとか、何者かになりたいという。でも、それじゃいけないということに気付くと同時に、本当に好きなものに出会ったという感じでした。
――これまで演じられてきた役はひと捻りあるキャラクターが多いですが、それは石川さんの好みですか?
オーディションの話など、私に届く時点でめんどくさいような、捻くれた子であることが多いんです(笑)。最近でいうと、“メンヘラ”のひと言で片付けられてしまうような子。でも、知れば知るほど一人一人違い、そこに可能性を感じるので、(そういう役も)どんと来い!と思っています。
8月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
配給:スタイルジャム
原作:浅野いにお「うみべの女の子」(太田出版)
監督・脚本・編集:ウエダアツシ
出演:石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴/村上淳
(C)浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会