中学生時代は“ガングロ”
――ちなみに石川さんは、どんな中学生でしたか?
中学生の頃は親に褒められたいと思って生きていたので、勉強を第一に、勉強と部活の毎日でした。だから、悩みもそのことだけで、小梅のように人間関係で悩んだ思い出はなくて。学生時代はテニス部で真っ黒で、あだ名も“ガングロ”(笑)。昔の写真を見ると本当に真っ黒なんです。私立の学校で勉強について行くのも大変だったので、本当に毎日勉強と部活だけでした。
――真っ黒は意外です(笑)。今後は、映画、舞台、ドラマ…、どんなフィールドで活動していきたいと思っていますか?
どんなフィールドでも大切なのは、どんな人を残せるかだと思っているので、フィールドよりも役に貪欲にいきたいです。映画が好きですが、ものづくりとしては同じだと思うので、そこは意識せずに。
実は原作ものに対してもあまりよいイメージを持っていなかったのですが、今は原作があるのも挑戦したい。嫌うことなく、選ぶことなくやっていきたいなと思っています。それから最近、実在する人を演じるのは素晴らしいことだなと感じているので、そこも目標の一つにしています。
――では、最後に「うみべの女の子」の見どころを教えてください。
すれ違いです。わかりやすくすれ違ってはいないんですけど、明らかにすれ違っている。それは自分ではどうにもならない感情で、中学生の子供っぽいものでなく、今の時代を生きているあらゆる年齢の人にあるもどかしさ。それが“すれ違って”いるように感じました。
私自身、漫画を読んだ後と映画を見終えた後で似たような感情を抱けたので、原作ファンの方にも安心して見ていただけるのではないかと思います。そして、映画として見た方の心に残ったらいいなと思っています。
それから、浅野さんは舞台となる場所を写真に撮って、それを漫画で描いているそうなのですが、ウエダアツシ監督がその場所を見つけてきて、そこでロケしているので、漫画の世界がそのまま映画の中にあると思います。風景がまったく一緒なので、私もテンションが上がりました。
あと、磯辺の部屋もこだわりが詰まっていて、岡崎京子さんや古谷実さんの漫画や音楽CDなど、サブカルチャーのものがたくさんあるんです。私は学生時代に漫画も音楽も通らず、サブカルには全然詳しくなかったので、すごく楽しめました。ぜひ、本棚にも注目してみてください。
取材・文=及川静
8月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開
配給:スタイルジャム
原作:浅野いにお「うみべの女の子」(太田出版)
監督・脚本・編集:ウエダアツシ
出演:石川瑠華、青木柚、前田旺志郎、中田青渚、倉悠貴/村上淳
(C)浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会