<青天を衝け>演出・田中健二氏「そこが彼のすごいところ」吉沢亮らの演技力とVFXの技術力で、現代に幕末のパリを再現!
田中健二監督「この舞台だからこそできる、とても素敵なシーン」
その上で、田中は脚本の大森美香と話し合ったと言い「まずは、日本でできることとできないこと、ロケに行かないとできないこと、VFXでなら実現できることなどを制作陣で考えました。そして、栄一がパリに行ったときに必ずやることもあると思うので、大森さんが事前に書いてくださった大筋からこういう風にだったら撮影可能だということを用意して、昨年内に大森さんに承諾をいただいて、VFXを作り始めました」と語った。
撮影の進め方を田中は「撮影は、フランスのプロダクションと組んで、進めました。実際に昭武がナポレオン三世と謁見したテュイルリー宮殿はもうなくなってしまったのですが、現存するものの中からどのように撮影するのかを考えました。その中で、他の使節団がフォンテーヌブロー城というところでナポレオン三世と謁見している絵が残っていまして、その舞台となっている広間をWEB上のストリートビューでロケハンをさせていただき、ここでならいい映像が撮れそうだと、フランスのプロダクションに実際にロケハンをしてもらいました。そのおかげで、日本とは全然違う、この舞台だからこそできる、とても素敵なシーンになったなと個人的にも思っております」と振り返った。
そして、田中は「昭武が歩いているシーンは、実際に板垣さんに衣装や履物も身に着けて歩いていただいて、床に1m間隔でテープをはり、1mを何秒で歩くことができるのかというのを計りました。そして、それをフランスのプロダクションへ送り、現地のスタッフや代役の方に実際に板垣さんと同じスピードで歩いてもらい、それに合わせてカメラワークを決め、撮影してもらいました。フランスの役者さんたちと豪華絢爛な宮殿の映像に板垣さんら日本人が歩いているところを合成しました」と苦労を語った。
また、続けて苦労したというシーンを田中は「篤太夫が、手すりに手をついて、外を眺めるシーンがあるのですが、それは結構難しくて…。その手すりと同じ幅と厚みのグリーンのセットを作っていただき、フランスで撮影された背景をかぶせました。センチメートル単位で縮尺を測り、一部を日本でグリーンの素材で、作り込むことにより、再現することができました」と明かした。