――また、唯一「化物語」は「恋愛サーキュレーション」と「君の知らない物語」という2曲がピックアップされてますね。
「これは何ていうんですかね、『物語』シリーズは2000年代を象徴するような作品ですし、名曲も多い。これは入れなきゃダメだなと思ったんです」
――それぞれの曲を選んだ理由は?
「まず、『君の知らない物語』は、アニソンで有名な曲を上から数えて5番目以内に入るような、もはやワールドアンセム。レジェンドアニソン感というか、これを外す理由はないな、と。『恋愛サーキュレーション』に関しては、今でも2年に1回ぐらいはバズってるというのもあって。最近もTikTokでかなり使われてたり」
――ポップで可愛らしい曲ですよね。
「それこそ、『恋愛サーキュレーション』は1曲目にしようと考えてたときもありました」
――結果、今回の1曲目は「もってけ!セーラーふく」(『らき☆すた』)になりました。
「ミディアム調の『恋愛サーキュレーション』からスタートして、どんどんテンションを上げていく流れだと、結構スロースタートになるような感じもあって。それより、一気にロケットスタートした方がいいかなと思い、『もってけ!セーラーふく』を選びました」
――勢い重視というところだと、「ハム太郎とっとこうた」(『とっとこハム太郎』)から始めるようなことも考えたり?
「それも考えました(笑)」
――改めて収録された曲を見ると、「ハム太郎とっとこうた」の存在感が凄いですよね。
「この曲はDJ界隈だとアンセムの一つなんです。僕も結構いろんな現場で流すんですけど、みんな”大すきなのは ひまわりのタネ”というキラーフレーズを叫べる。こんなに分かりやすくコール&レスポンスができる曲ってなかなかないんです。で、調べたら2000年にリリースされたというのもあり、これは入れるべきだな、と。それに、今の深夜アニメにつながるラインだけじゃなくて、夕方アニメも朝のアニメも全部があっていいなとも思って。2000年代って、そういったゴチャゴチャ感があったし」
――実際、今回のラインナップはアニソンという括りがなければありえないですよね。
「そうですね。それがこういったコンピレーションの面白さのひとつでしょうし。2000年代も後半になってくるとアニソンもJ-POPラインに入ってきたりするんですけど、その流れも楽しめるかな、と。頭の中の感覚がどんどん揺さぶられていくので、それも味わって欲しいですね」
――現場で「ハム太郎とっとこうた」のリアクションが大きいというお話がありましたが、他にもそういったところのフィードバックで感じたことが選曲につながったモノはありますか?
「今回、いわゆるゲーム原作といわれるアニメの曲が並んでいるところがあって。『サクラサクミライコイユメ』(TVアニメ『D.C. ~ダ・カーポ~』)や『リフレクティア』(『true tears』)あたりなんですけど、このへんはアニソンのDJイベントだとめちゃめちゃアンセムですね。みんな、頭を抱えて寝転がるような楽しみ方をしてたり」
――えっ、それはどういった状況なんですか?
「おそらく、DJイベントといえば、みんなワーっと手を上げて楽しんでいるようなイメージがあると思うんです。EDMとか、ULTRA JAPANみたいなひたすら盛り上げる系だとそうなんですけど、アニソンの場合はそういう楽しみ方もできれば、泣ける曲が流れたら急に静かになって正座して聴いてたりとか、振り幅が凄いんですよ。アニメを観てた人にとっては、いろんなことを思い出すから」
――曲自体に感じることもあるけど、その作品についても想いも重なったり。
「コロナ禍以前の話ですけど、クラブだとDJブースとお客さんの距離が近いんですね。だから、曲を切り替えた瞬間、いろんな奇声が聴こえてきたりもして。その作品や曲が好きすぎて、『やめろー! 殺す気かー!』とか、そんな声が飛ぶこともあります(笑)」
――いわゆる押すな押すな状態(笑)。
「聴くと泣いちゃうから、っていう(笑)」
時間旅行[DJ和の"あの頃"アニソンMIX]
DJ和 ソニーミュージック・レーベルズ 2640円
https://www.j-popper.jp/
DJ和=1986年10月25日生まれ、東京都出身。2008年に「J‐ポッパー伝説」リリースし、以降一貫してJ-POPにこだわり続け、これまでにリリースした28枚のCDの累計が195万枚を突破している。関ジャニ∞のBEST ALBUM『GR8TEST』や超特急、米米CLUBなど数多くのアーティストのMIX CDも手掛けている