昆虫は「毎回ガチで探しておりますので」
――「昆虫すごいぜ!」では、毎回、カマキリ先生が昆虫採集に出かけますが、例えばクワガタの回では8時間、テントウムシでは4時間と、相当な時間をかけられているんですよね?
はい。毎回ガチで探しておりますので。とはいえ、カマキリ先生は大変お忙しい方でいらっしゃいますので、ロケ地は番組の第1回から担当しているディレクターの藤井智康が入念な下見を重ねて選んでいます。ですから、カマキリ先生も「藤井くんが目星をつけた場所で捕れないわけがなかろう」と挑んでくださっています。2021年春の“テントウムシ”の回では、数種類のテントウムシがいるという情報をキャッチしていたので、「見つけてやるからなー」と気合十分のご様子でした。
――撮影の際、カマキリ先生が無邪気に、そして自由に振る舞われているのが、とても印象的です。
カマキリ先生と藤井Dの間に信頼関係が築かれているので、あれだけ自由に振る舞われているのだと思います。ただ、先生は大好きなボクシング話など、よく脱線し、放送できないことばかりしゃべっていて…。よく「未公開部分がたくさんあるんでしょ?」と言われるのですが、放送していない部分は放送できないことばかりなので、我々はヒーヒー言いながら、放送できる30分を集めているんです(笑)。この番組は学校放送ですし、Eテレとしての品位というものがありますので、お子さまにお見せできないシーンは藤井Dがしっかりカットしています(笑)。
――今回の特別授業では全18本のなかから10本がノミネートされ、最後にベスト・オブ・すごいぜ!が決まりますが、見どころはどんなところですか?
藤井Dが“アリさんD”となって、先生と共に撮影を振り返ります。例えば、「コスタリカでは〜」などと今回初めて聞ける思い出話も飛び出しますので、「昆虫すごいぜ!」ファンの皆さまには楽しんでいただけると思います。それから、声優の佐倉綾音さんにアリさん(ナレーター)を担当してもらいますので、そこも聞きどころです。
――今回もカマキリ先生が自由に書き込む、人気のホワイトボードは登場しますか?
ホワイトボードはロケだろうが、スタジオだろうが毎回用意しているのですが、今回は残念ながら登場しませんでした。この番組での香川さんはただカマキリに扮しているわけではなく、“カマキリ先生”として説明をしているので授業するために書くものは必要不可欠なのですが、ホワイトボードに“書いてしまう”ので、編集がしづらくなるといううわさもあります(苦笑)。
――例えば、2021年の春の“テントウムシ”の回では探しに行く前に、テントウムシの方からカマキリ先生の前にやってくるというミラクルもありましたが、今回も何かありましたか?
ありました。実は収録中に“ある虫”がカマキリ先生の前に現れて、ノミネートされるというミラクルが起こりました!(8/14放送回でモンシロチョウが登場)
――8月9日放送の回では、“カミキリムシ”がテーマになりましたが、選んだ理由は?
過去にはマレーシアやコスタリカなど、海外へ飛び出したこともありましたが、コロナで海外が遠い存在になってしまいました。そんな時にもう一度、生態系の豊かな日本列島に着目しようということになりまして。例えば、北海道でしたら、“エゾ〇〇”という名前の固有種がいたりしますので、日本の固有種を追うシリーズの1つとして企画しました。
――ちなみに、野々部さんが一番好きな回は?
番組を作る者として、一番良いのは次に作るものでなくてはならないと思っています。ですので、この夏休みの特別授業を通して兜の緒を締めて次回に向かいたいと思いました。また、今後テーマにしたい昆虫の話も出てきますので、我々スタッフにはまだまだ夏休みの宿題がいっぱい残っているなと気付かされました。今回の3週連続特別授業は1回2時間程度ありますが、放送後にNHKプラスのプレイリストでも1週間配信していますので、どうぞお見逃しなくご覧いただきたいです。
取材・文=及川静