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山梨放送「マキタ係長」、マキタスポーツから感じる“山梨愛”

2021/10/11 15:01

マキタスポーツ
マキタスポーツ ※画像はWEBザテレビジョン タレントデータベースより

「10年は続けたい」マキタスポーツが語る山梨への思い


さらに「マキタ係長」は偏愛かるたから派生し「あいまいな甲州弁を可視化」することにも着手している。

どこの方言であっても標準語に1対1で置き換えるのが難しい単語というのは存在するが、その中でも微妙で独特なニュアンスを持つ甲州弁の単語を成分表示してみるという意欲的な試みだ。

たとえばこの文章の冒頭にも出てきた「しわい」は「意地が悪い★★★★★ しぶとい★★★★ 手に負えない★★★★」と言った具合である。

「わにわに」と「ちょびちょび」の微妙なニュアンスの違いを語る回では、「キャンユースピーク甲州弁?」の著者で甲州弁のスペシャリスト五緒川津平太(ごっちょがわつっぺえた)氏も唸るほど考察が深まり、「ちょびちょびはケガにつながる行動、わにわにはそうでもない」「動のちょびちょび、静のわにわに」など、可視化が進められた。

東京の人からすれば、距離的に離れた青森や沖縄の方言が標準語から遠くなるのは何となくわかる。しかし特急あずさで行けば新宿から1時間半の山梨県の方言がここまでわからないのも面白い。

このように山梨県人自身が県民性を突き詰めるこの番組は、一地域の風習を東京目線で薄く紹介する日本テレビ系列の「ケンミンSHOW」などとは一線を画す。根っこには山梨への愛があり、山梨を何とかしたいという「想い」がある。

番組ホストのマキタスポーツは18歳で東京の大学に入り、一度山梨で就職しながらも再度上京して芸人になったいわば「山梨を二度捨てた」人間だ。しかし実家のスポーツ用品店の屋号を名乗っているように、彼の芯の部分にはずっと山梨があった。

以前マキタが連載していた雑誌TV.Brosのコラムでは、2017年に「山梨で芸能界を始めたい」「県外の大資本ではなく地産地消でエンタメを作る」と夢を語っていた(ちなみにその時にやりたいことの一つで挙げていた地元フェス「SHINGENフェス」は「マキタ係長」でも「フェス大無尽」としてプレゼンされている)。

また「マキタ係長」の番組開始時の記者発表では「山梨で番組をやりたいと思ったのが10年前、齢50の年にやっと実現することができました。構想期間が長かった分10年は続けたいと思います」と抱負を語っている。マキタにとってこの番組は悲願の地元レギュラー番組なのだ。

音楽ネタにしても、執筆活動にしても、東京ポッド許可局の活動にしてもマキタスポーツは「解く」ことを芸風にしている人だ。時には、長年山梨でラジオレギュラーを持つ「外様山梨芸人」髭男爵山田ルイ53世からの「耳の痛い山梨県民への指摘」も受け入れながら、彼は山梨を再度「解く」ことで盛り上げようとしている。

わずか15分の深夜ローカル番組。ここからマキタは夢への一歩を踏み出した。道はまだ始まったばかりだ。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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