映画「ぐちゃぐちゃ」が4月22日(土)より公開される。同作は東京・下北沢の映画館・トリウッドと専門学校の東京ビジュアルアーツがタッグを組み、“学生による商業映画の製作”を目的とした「トリウッドスタジオプロジェクト」の第11弾作品。
ビジュアルアーツ映画学科に通う山岸綾が監督と脚本を務め、26歳の女性がさまざまな“変わり者”との出会いから自身の生き方を模索する姿を優しく紡ぐ。本作で映画初主演を果たす石崎なつみと、不思議な空気感を漂わせる同僚・今泉を演じた田村健太郎に作品の見どころを聞いた。
――それぞれが演じた役について教えてください
石崎:私が演じた紗弓は、“自分”を出すのがすごく苦手で、自分がいる環境の中で生きやすいように意思を抑えて飲み込んで、全部周りに合わせちゃう女の子。
自分を出せないという部分は私自身にもあって、台本を初めて読んだとき似ているところがすごくたくさんあって(役に)共感したんです。紗弓が取る行動はもちろん、自分の部屋の中でダラダラしているところも(笑)。
ちなみに紗弓は(山岸)監督自身をベースにしたキャラクターなんですが、監督と初めてお会いした時は意気投合したというか、なんか「あ、ちょっと合うかも」って感じましたね。
田村:この作品は紗弓という女性の目線からのストーリーなので、今泉という男の背景(設定)について、実はあまり描かれていないんです。ただ、役を客観的に見ていると、今泉は社会生活の中で何の問題もなく、器用に他人に合わせることができちゃう人。
その反面、(自分の)中にあるものを隠しているというか、結構殻が厚い人間なんだと僕自身は感じました。この作品は、紗弓がそんな今泉と出会って、自分を隠している部分などが共鳴して、二人の距離が近づいていくストーリーなんですが、こういうことは程度の差はあれど、誰でも感じることだと思うんです。
社会生活、特に会社にいる時ってなかなか自分を出せないし、それに慣れちゃうともっと出せなくなる…そういう感覚は割と皆さんに共感してもらえるような役だとは思います。
――田村さんの役は、失恋して大泣きするような男性でした。
田村:僕も失恋したら公園とか行っちゃいますから (笑)! 行っちゃいません? 逆に、みんなどこで泣くんだろう? 誰にも会いたくはないけど、部屋に閉じこもるのもつらいし…。
ふらふら外行って公園っていうのはすごく分かりますし、僕も実際公園でぼーっと子どもが遊んでるのを眺めたりしちゃうと思うので…今泉の行動は自分の中でしっくりきますね。作中でもそこが大事なシーンなのかもしれないですね。
石崎:そうですね、紗弓も今泉さんが自分の感情をむき出しにしているのを見たことで、「すてきだな」って引かれたという部分はあると思います。
――お互いの役について、実際に異性として考えるとしたら?
石崎:どうなんだろう…彼氏として…うーん、どうなるんだろう(笑)。
田村:あんまりってことだよね(笑)! 紗弓は一見、静かっていうか自己主張のない感じだけど、家でAV借りてるってところは評価高いですね。あ、そういうとこ超えるんだって。
「もっと自分を出して来いよ」という感じはありますけど、1回(紗弓の)内側に入るとさらに興味が湧く。だけど内側に入るまでが固そうなので、もうちょっと隙を見せてくれれば。作中でもなかなか隙見せないもんね。だから、実生活だと仲良くなるまでが難しいかもしれないです。
石崎:そうですね、でも(作中のシーンにある)きゅうりの皮だけで笑い合える仲というのは良いですよね。
田村:あ~、確かに確かに。そんなことで笑えるんだっていう。
――二人が初めて会話する給湯室でのシーンでの会話が初々しかったですね。
田村:今泉が急に「雨でぬれた髪の毛って臭くないですか?」と、紗弓に話し掛けるんですが、あの会話は正直、台本を読んでピンとこなかったんです。だから逆に、あれが笑いのネタとして共有できたならば二人の相性は良いのかなと。僕自身はピンときませんでした(笑)。
――二人の初キスシーンでも、初々しいやりとりがありました。
田村:はい、監督にやらされましたね(笑)。(※キスする前にお互いの鼻を指差して、じゃれ合うシーン)
石崎:監督とこのシーンについて話した時に、鼻に入れるということは紗弓が心を開いたっていう証拠の演出だと伺いました。指を鼻にプスっとすることが、お互いの心の確認作業なんです。
田村:これは僕もピンときましたね! 好きな人とじゃれ合うときって、ちょっと変なことしたくなるじゃないですか。きれいにラブシーンがあるよりも、スッていかない方がリアリティーを感じますしね。「この二人だからこそなんだな」というのを出せたらいいなと思って演じてました。
4月22日(土)より下北沢トリウッドにてロードショー
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