俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第2回のテーマは「演技論」。これまでの役者人生を振り返ってもらうとともに、俳優・声優としての演技への思いについて詳しく聞きました。
22歳で出会った金言。「セリフは結果でしかないから、言い方にこだわるな」
──2021年はデビュー15周年の節目の年で、12月17日で34歳になりました。20代のころと30代になった今とでは、演技への取り組み方に変化はありましたか?
めちゃくちゃ変わったような気がします。デビューしたてのころは、とにかくセリフがある役がほしいと必死でした。それでいてけっこうギラギラしていて、「僕はこう演技するんだ」という頑固なところがあったと思います。
でも30代になって、いろいろな現場を経験して、今は作品によって柔軟に対応できるようになったと思います。「この場面はこうだから、こう演じよう」とか、「この役はこうだから、こういう演技をして補おう」とか、すごく視野が広くなりました。監督や演出家の方に言われるのではなく、自分で判断できるようになったと思います。
──デビューしたてのころに、演技について影響を受けた人はいますか?
初めて主要キャストをやらせていただいた舞台が「ロイヤルホ☆ト」(2010年)という作品なんですが、その演出家の古河聰さんです。今も親交があって僕のお父さん的な存在なんですが、その方に演技の根本を教えてもらいました。
特に印象に残っているのが「セリフは結果でしかないから、言い方にこだわるな」という言葉。言い方ではなく、「感情で演技する」ということを教わりました。当時22歳でまだまだ演技について分かっていなかったので、すごく心に響きました。
──その後25歳でミュージカル「テニスの王子様」(2012~13年)に出演し、俳優・染谷俊之の名は広く知れ渡っていきました。
そうですね、そこからみなさんに知っていただく機会が増えて、無事にアルバイトを辞められました(笑)。とはいえ、舞台とミュージカルはまた畑が別なんです。たぶん観に来る方のスタンスも違うと思います。作品にもよりますが、舞台はお客さんを一気にその世界観へと引き込むのに対して、ミュージカルは見世物というかショー。お客さんは演劇ではなく、“ミュージカル”というジャンルを観に来ているんだと思います。
だから求められる技術が違ってきます。感情を歌で表現するミュージカルは難しい。それを専門でやられている「劇団四季」とか「宝塚歌劇団」などの方々は本当にすごいなと尊敬しています。