【試写室】「緊急取調室」三田佳子の一言に背筋が凍る
いきなり老婦人姿の三田佳子のアップ、からの大杉漣、小日向文世、でんでんの“おじさんトリオ”で、あれ?夜にも「シルバータイムドラマ」が始まったのか?(失礼)と思いきや、いやいやゴールデンタイムドラマです。そして登場して早々、天海がそのおじさんトリオたちに「どきな坊やたち」とな。
この感じ、本当に帰ってきたなあという感じがしてうれしかった。もちろん全然“坊や”じゃないのだが、それを受け入れられるくらいの格好良さが彼女にはある。射撃訓練姿もバッチリ決まっている。
帰ってきたといえば、林ゆうきの「とぅるる~るるるるーる~」という独特の音楽が相変わらず格好良く(文字じゃ伝わらないのが残念)、これに加えて田中哲司の「皆さん出番です」の一言で、いざ仕事じゃ!というモードになる。ちなみにこの言葉の後、キントリメンバーが思い思いのファイティングポーズ(目つき)をするのも好き。
今回のメインゲストは、日本が誇る大女優・三田佳子。気合の役作りで“77歳の孤独で地味な老婆”を体現している。
事前の情報として、顔はほぼスッピンで髪形は白髪交じりのボサボサヘアー。色もデザインもすこぶる地味な衣装に包まれた背中には、タオルを仕込んで丸みを持たせ、年齢と孤独感をにじませる老婆の佇まいを追求した、ということで、情報解禁の写真では見えない部分はどんな感じなのだろうと思ったら…これは驚いた。
一瞬誰だか分からなかった、と言ったらちょっと言い過ぎだが、ここまで別人のような姿になれるとは…。特にあるシーンで三田が「ヒ素じゃないわよ」というせりふを発し、意味深な表情を見せるところは背筋が凍った。外は夏日なのに、私の心は冬模様だ。
なぜかは分からないけど、つい某ナンチャラッカーズって名前のチョコ菓子を食べたくなった。
その他、キントリメンバーでは善さん(大杉)の猛獣(有希子)使いっぷりに、春さん(小日向)の博識っぷり、そして菱やん(でんでん)のかわいさ。あのコワモテでハーブチー(ティー)はズルイ。余計にかわいく見えてしまう。キントリ恒例の“脱力系円陣”も見られるので、そこもお見逃しなく。
そしてモツナベこと偉そうだけどかわいげのある監物(鈴木浩介)、爽やかイケメンの好青年・渡辺(速水もこみち)刑事コンビ、刑事部長という要職にありながら、汚い言葉と承知で言わせてもらうと、ひよりっぷりがパナイ磐城(大倉孝二)。こんなふうに、ゲスト以上にレギュラーメンバーが個性豊かなのは、テレ朝刑事ドラマあるあるかも。
さて、そろそろ有希子を演じる天海の話をしようじゃない? 連ドラ第1弾では長髪を20cmカット、スペシャルドラマでは被疑者に髪を切られ、今回は第1弾以上の約25cmもカットして役作りしたという彼女。なぜかこのドラマに関わると髪の毛を切ることになるので、もしかすると次回作があるとしたら天海の髪の伸び具合次第か?
余計なお世話は置いておいて、有希子と民子、いや天海と三田の“魂のぶつかり合い”は、演技だと分かっていても圧倒されてしまう。
この作品では、いい意味で紅一点だけど紅一点らしからぬ立ち居振る舞いをしていつもビシッとキントリメンバーを引っ張る有希子の姿は、リーダーシップを取る立場にいる人はもちろん、将来こういうバリバリの仕事人になりたい女性にも大きな希望を与えそうだ。
むしろこんな人になら取り調べされてみたいし、丸裸にされたいし、何ならもう自ら裸になりたい。そんなことしたら、本当に取調室行きですな。
今回もその「丸裸にしてやる」や「面白くなってきたじゃな~い」というおなじみの決めぜりふは健在だが、それでいていきなりの“難敵”にものすごく苦戦を強いられる有希子。彼女の新鮮な姿に、ついつい応援したくなるのは私だけではないはずだ。たぶんどこかの女子高校生チアリーダーたちも全米で応援していることだろう。
いろいろごっちゃになってしまっているが、緊急コンプレックス、もといキンコンの私でも最後まで楽しく見られたので、このドラマの放送中はいかに大事な電話だろうが、彼女からのラブコールだろうが、彼氏からの居場所確認コールだろうが、とりあえず電話に出るのは禁止の方向で。
まあ、成人たちのアルコールだけは認めよう。
4月20日(木)スタート
毎週木曜夜9:00-9:54
テレビ朝日系で放送
※初回は夜9:00-10:09