正直まだ模索しています(笑)
――今回も個性の強いキャラクターですね。和泉という役への手応えは?
今までの役と全然違っていて、正直まだ模索しています(笑)。これまでは、自分の中から出る感情を一番大切にしようと思って、中から浮き出てくるものを表に出すことを第一に考えてやってきたのですが、和泉は真逆。考えていることを隠さないといけないんです。
でも、何も考えていないわけではなく、あえて隠していて、“隠していることを表現する”という。今まで演じた中でも個人的にはかなり難しい役だなと思いながらやらせていただいています。
――台本にも、せりふがなくて「無感情」と書いてあるのも面白いですね(笑)。“ロボット女”を演じる上で心掛けていることは?
ロボット女と言われていますけど、監督と話して「あまりロボットっぽくなり過ぎないように」と心掛けています。人間味を感じる部分がないと視聴者の皆さんに共感してもらえないかなと思うので、ロボットらしくし過ぎないことも大事なのかなと思いました。
――芳根さんが思う、和泉の魅力は?
たぶん、誰よりも他人のことを見ているんです。ただ、過去にいろんなことがあって、感情をうまく出せなくなってしまっている。これから話数を追うごとに、なぜ和泉はこうなったのか、明らかになっていくと思います。
最初は「この人何なの?」って和泉に対して取っ掛かりにくいと思うので、康介(山田)とのペアで楽しんで見ていただいて、「この2人のコンビはいいな!」って思ってもらえたらうれしいです。康介が和泉を理解してくれるにつれて、見てくださる方も和泉の心の中が少しずつ見えてくるんじゃないかなと思います。
――芳根さんから見て、康介や一ノ瀬(大橋和也)のキャラクターは、どう映りますか?
先日もプロデューサーの皆さんと話していたのですが、「康介はちゃんと現実を見ている人だよね」って。自分はかわいいを武器に生きていく、というところから、年齢もあって徐々に現実を見始めている。現実を受け入れずに我が道を進むのではなく、ちゃんとかみ締めながら歩いていくところがすごく人間味があっていいなあと思います。
一ノ瀬は、大橋さんそのまんま(笑)。本当に適役だと思います。当て書きかな?と思うくらいそのままですね。クランクインの日に大橋さんは「緊張してる」とおっしゃってましたけど、すごく自然体で楽しそうにやられていました。一ノ瀬には癒やされますね。
――山田さんとは久しぶりの共演ですが、以前から印象など変わった部分はありますか?
大きくは変わらないんですけど、前作で山田さんの演じた役名が「遼一」で、私の役とは幼なじみという設定だったので、劇中では「遼ちゃん」と呼んでいたんです。それもあって、山田さんは「涼介」さんなので、「いつでも涼ちゃんって呼んでいいよ」って言ってくださって、撮影期間中は「涼ちゃん」って呼ばせていただいていたんです。
でも、2年ぶりに会ったら「山田さん」になりました(笑)。山田さんから「何でそんなに距離遠いの?」って言われてしまいましたけど、先輩ですし、無理ですよね。当時は幼なじみというマジックにかかっていたので呼べましたけど、もう呼べません(笑)。今も「山田さん」って呼んでいます。
――なるほど(笑)。呼び方以外では何かありますか?
2年前はちょっと大変な作品だったので、みんなが同じ方向を向いて一緒に作品を作っていく、という強い絆があったんです。山田さんとそれを乗り越えたことで、お芝居の仕方や現場での居方のようなものが何となく分かっている安心感もあって、今回はすごく安心してインの日を迎えました。
ちょっと「う~ん」って迷うことがあったら「これどう思いますか?」とすぐに聞けますし、それにちゃんと答えてくださるので、お芝居をする上ではとてもやりやすい環境を作っていただいています。