<ドラマアカデミー賞>最優秀作品賞は「カムカムエヴリバディ」『全ての人生に花束をささげたいという気持ちで』(制作統括・堀之内礼二郎氏)
ヒロインが3人という異例の試みが話題に
第111回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞では、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK総合ほか)が最優秀作品賞、主演女優賞(上白石萌音)、助演男優賞(松村北斗)、脚本賞(藤本有紀氏)、ドラマソング賞(AI「アルデバラン」)の5部門を受賞。祖母、母、娘という3世代のヒロインの物語を100年という長い時間軸で描き、共感と感動の嵐を巻き起こした。そんな同作を手掛けた制作統括の堀之内礼二郎氏、櫻井賢氏、チーフ演出の安達もじり氏に受賞インタビューを行った。
ヒロインがリレー方式で物語をつなぐという“朝ドラ”としては異例の作品。「ヒロインが3人という試みが新鮮で飽きなかった」と、主演した上白石萌音、深津絵里、川栄李奈の熱演もあり視聴者に好意的に受け止められた。堀之内氏は、「前例のない3人のヒロインによる100年の物語で、苦労した分愛情も強く、賞をいただけたのはうれしく名誉なことです。孫世代のひなた(川栄)が結婚せずに人生のバトンを引き継いだように、全ての人生に花束をささげたいという気持ちを込めて作りました」と作品に込めた思いを語った。
さらに視聴者からは「伏線を回収してのハッピーエンドが見事」と藤本氏の脚本も高く評価された。櫻井氏も、「藤本有紀さんは等身大の人生を描ける人。安子とるいが再会したように、時間が問題を解決することを描き心に染みる作品にしてくれました」とその手腕を改めてたたえた。
SNSでも大きな盛り上がりを見せた同作。安達氏は、「小さくとも肌触りのある世界のファミリーストーリーを、皆さんがご近所さんのように寄り添いながら見て愛していただけたのがうれしかったです」と、視聴者に愛された作品を振り返った。
(取材・文=小田慶子)