マーベル・スタジオの最新作であり、新ヒーローの誕生を描くオリジナルドラマシリーズ「ミズ・マーベル」(毎週水曜昼4:00、ディズニープラス独占配信)。6月8日に第1話が配信された際には、本国アメリカで「#MsMarvel」がTwitterトレンド1位になる反響を呼んだ。本日6月15日(水)には第2話も配信の同作をレビューする。(以下、ネタバレがあります)
アベンジャーズオタクの女子高校生がヒーローに
本作は、アイアンマンやスパイダーマンなど、アメリカの漫画「マーベル・コミックス」を原作にマーベル・スタジオが製作する実写映像作品群、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の一つとなる。それぞれのヒーローたちの活躍を単体で描きつつも、同一の世界観を共有。そのヒーローたちが共闘する際のチーム名が“アベンジャーズ”だ。
「ミズ・マーベル」の主人公である女子高校生のカマラ(イマン・ヴェラーニ)は、MCU世界の住人であり、その世界に存在しているアベンジャーズの“オタク”といえるほどの大ファン。なかでも、女性ヒーローのキャプテン・マーベルに憧れている。
第1話冒頭は、カマラが投稿用に地球最強のヒーローについての考察動画を作っている様子で、アベンジャーズの戦いをイラストで表現。それは映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)の描写になるのだが、そこで活躍したキャプテン・マーベルがいかにすごいかを力説する。それによってカマラのオタクな人物像が浮かび上がるうまい作りだ。
ちなみに、MCUの世界にいるとはいえ、一般市民であるカマラが主に宇宙空間での戦いをなぜ知っているのかは、アベンジャーズの一人・アントマンであるスコット・ラングが出演したポッドキャストをネタ元にしていたのは、マーベルファンにとって面白い点だっただろう。
と、ここでマーベルファン、あるいは「アベンジャーズ」シリーズを見ていないと物語が分からないかと思われるかもしれないがそうではない。基本的に単独作品として楽しめるようになっているし、このカマラによる動画の説明などでMCUの世界線を軽く把握できる。
主人公は空想癖のある女の子
そして物語は、カマラの生活を映し出していく。その1日の始まりは、自動車運転免許の試験。前進するはずがバックしてしまい、不合格に。母親は、カマラがうまくいかないのは、空想ばかりする自身の家系のせいだと嘆く。その通りに、母の話を聞いているかと思いきや、車の窓の外を見てキャプテン・マーベルが飛んでいる様子を空想しているカマラ。その後、学校でも教師に授業中に上の空であることを指摘された。
そんな彼女の“空想”の世界はこれからキーポイントにもなっていくのだろうか。
カマラの空想や親友のブルーノと話している内容が建物の壁や空中などにポップなイラストやレタリングアートで映し出されていくのは、女子高生ヒーローを描く物語として、若く、みずみずしさを感じさせる実に楽しい演出だ。
ヴィレッジブックス
発売日: 2017/09/28