1位は世界的超大作をパロッたタイトルが秀逸。ツッコミどころも満載です
──いよいよ残り2作品。2位をお願いします。
「シャークネード」(2013年・アメリカ)。以前にも話したこと(※連載第3回)があるんですが、サメの竜巻が人を襲う話です。ヒロイン役の女性がけっこう早い段階で食べられちゃうんですが、たくさんのサメが迫り来る中を主人公がチェーンソーを持って飛び込んで、いっぱいいる中からヒロインを見つけて助け出すシーンがある意味スゴい(笑)。この作品もシリーズもので、途中から古代の遺跡の話とかになっていてけっこう興味深いですよ。
──B級映画らしく、制作費を節約する工夫がされているところも見どころとか。
そうですね。例えば、家の中までサメが襲ってくるシーンがあるんですが、恐らくそのセットしか使えないから絶対に2階には行かないんですよ。もしサメが2階に行っちゃったら、ほかのセットも用意しないといけないから(笑)。「上(2階)に逃げればいいじゃん!」と思うんですけど、そうした事情から1つのセットの中でどうにか対処するんです。そのあとに家を外から映すカットがあるんですが、やっぱり2階以上の水かさはないんですよ。ほかにもさっきまでびしょびしょだったのに、次のシーンでは服が乾いていたり(笑)。そういうところを探すのも面白いです。
──それではいよいよ1位の発表です!
これはシリーズものではないんですが、「ジュラシック・シャーク」(2012年・アメリカ)です。古代のサメが蘇る話なんですが、なかなかすごかったですよ。舞台はどこかの島なんですけど、いかんせんその規模が分からない。普通の映画って、どこで行われているの分かるように俯瞰の映像を入れるんですけど、そういうのが一切ない。なので本当にここが島なのか、陸でどこまで逃げられるのかといった情報がなく、まったく予測がつかなくて面白かったです。
──この作品を見ようと思った理由は?
タイトルに惹かれました。「ジュラシック・シャーク」って絶妙なパロディ具合じゃないですか(笑)。ストーリーとしては、ある島に若い男女4人が石油調査にやって来るんですけど、なぜか女の子は水着なんです。「仕事で来ているんじゃないんかい!」って、まずツッコミたくなる。それでそのあと、人間がどんどんサメに食べられていって、その女の子2人が「私たちで何とかしよう!」ってなるんです。「…いや、絶対無理だろ!」って(笑)。でも本当に何とかしちゃうんですよ、B級映画なんで(笑)。
──「女の子たちがんばれ!」ってつい感情移入しちゃいましたか?
いや、それはないです。この作品に限らず、B級映画は感情移入しちゃダメなんですよ。そんな没頭して見るものじゃない(笑)。あと、人間の悪役も出てくるんですよ。絵画泥棒だったかな。その泥棒が(サメが潜む)湖に盗んだ絵画を落としちゃうんです。それを手下に「拾いに行け」って命令するんです。手下は当然「無理ですよ、サメがいるんですよ」って拒否するんですけど、結局取りに行かされちゃう。観ていて「絶対無理だろう」と思うじゃないですか? で本当に無理なんです。「このくだり、いらないだろう」って(笑)。そういうところも笑っちゃうんです。そもそも「湖にサメがいるのかい!」という設定自体がツッコミどころですよね。
──ありがとうございました!
最後にB級ではない、普通に好きなサメ映画の話もしていいですか? それが「海底47m」(2017年・イギリス・アメリカ)という作品です。檻に入ってサメを楽しむツアーがあるんですが、その檻がアクシデントで海底47mまで落っこちてしまうんです。そんな真っ暗な海底の中でサメに襲われるというストーリーです。これがめちゃくちゃ面白い! 緊迫感があって、今まで見たサメ映画の中で一番怖かったです。ほかにも「ディープ・ブルー」(1999年・アメリカ)や「MEGザ・モンスター」(1997年・アメリカ・中国)もおすすめ。今回紹介したB級映画とともに、興味を持った方はぜひ楽しんでください。
取材・文=河合哲治郎