コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、謎の“拝み屋”少年が独特な方法で霊を祓う、新感覚のホラー漫画『首のない男と妊婦の話』をピックアップ。SNSやpixivにて漫画を公開しているイータさんが本作をTwitterに投稿したところ、なんと完結までに約14万以上のいいねが集まり、「美しい」「ゾクゾクした」「引き込まれる」「不思議な魅力がある」などのコメントが殺到。この記事では、作者のイータさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
強い霊能力を持つ“拝み屋”少年の前に現れた、臨月の妊婦。腹の中にいるのは…
あるラブホテルの一室。少年がベッドの上で独り目を閉じると、この世のモノではない“何か”が現れる。「つらかったね おやすみ」。少年が優しく抱きしめると、その“何か”は腕の中からすーっと消えていった。
主人公・神田暁は、“拝み屋”を生業とする19歳の少年。母親から受け継いだ強い霊能力で、さまざまな霊を浄化してきた実績を持つ。企業から仕事として除霊を請け負うこともあれば、親友の李王龍を通じて、友人・知人に憑いた霊を無料で祓うこともある。
ある日、暁が公園を歩いていると、ベンチに腰掛け、幸せそうにお腹をさする妊婦が目に入った。その姿を見た暁は、妊婦に近づき声をかける。「あなたのお時間を少し頂きます」。途端、妊婦を異空間に飛ばし両手を拘束する暁。「ここから出して!」と懇願する妊婦の傍には、“首のない男”が立っていた。「できません。あなたのそのお腹とこの男を始末するまでは」。
“首のない男”は、以前から多数の女性に夜這いをかけていた。その条件は、自ら命を絶とうとしている、異性に縁がない、男を知らない体であること。ヒトではないモノに種を植え付けられた女性たちは、たった2カ月で腹がふくれ、そのまま出産することなく命を落としたという。暁から初めて知らされる事実に、呆然とし、涙を流す妊婦。「本当なの?答えて!」 “首なし男”は「そうだ」と答えるが、実は彼女だけは他の女性たちと違っていた。「お前はもうすぐ産み落とす 俺の求めるものを」。暁は、爪の先が鋭利に変化した手を妊婦の腹の中へと突っ込み、あるものを引きずり出す。なんと“首なし男”はヒトの胎内で、自分の“首”を培養していたのだ。
その後、暁は霊能力者である母親に事の顛末を報告する。妊婦だった女性の記憶は消し、お守りを与え、服を着替えさせ、妊娠していた形跡が一切残らないようにした。翌日には“墓参り”に行き、すべての後始末を終える。「誇らしいよ。犠牲者の弔いまできっちりこなすところが」母の言葉に、「……母さんにそう教わったから」と無表情で答える暁。自室へ戻ると、そこには謎の少女・宵が彼の帰りを待っていた―――。
無感情で傍若無人のように見えて、実は優しさや思いやりを持って除霊をおこなう暁。“悪霊祓い”を題材にした漫画でよく見られるバトルシーンは一切なく、淡々とした空気の中で進んでいく物語は、読者から「美しい」「惹き込まれる魅力がある」など高い評価を得ている。また、今作のラストでは暁の生い立ちに関係がありそうな謎の少女が登場し、「続きが気になる」といった声も多数寄せられた。
そこで今回、作者のイータさんにインタビューを敢行。今作『首のない男と妊婦の話』のテーマと背景、登場するキャラクターや今後の展開についてなど話を伺った。