コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、Twitterで漫画やイラストを発信する芽茶 はらぺこさんの描いた『手々』を紹介。同作は「手」の幽霊が住み着いた心霊物件を舞台にした創作ホラー漫画で、Twitterで作品を投稿した際には、4000に届くほどのいいねと、多数の感想コメントが寄せられた。この記事では作者の芽茶 はらぺこさんにインタビューし、作品へのこだわりなどを伺った。
謎に包まれた「手」と同居することになった女性の末路
とある事情から引っ越しを繰り返す主人公は、家賃の安さから心霊物件に住むことに。その物件には守らなくてはいけない3つのルールがあった。「出ている間は開けない」「食事は1日2回」「直接触れない」。一見すると意味不明なルールだが、住んでみるとその意味はすぐに分かることに。
入居当日、靴下を脱ぎ捨て畳にゴロリと横になると、奇妙なものが視界に入る。なんと押し入れの中から伸びた「手」が、放り投げた靴下をつかんでいた。そう、この物件のルールは、全て「手」に関するものだったのだ。最初こそ驚いたものの、3つのルールを守り過ごすうちに、この奇妙な状況に順応していく主人公。
「手」との同居にも慣れ、意外にも平和な日常を過ごしていると、突然部屋のチャイムが鳴る。訪ねてきたのは妹だったが、この妹こそが、主人公が居を転々とする原因になっている存在であった。チェーンのかかったドア越しに、必死にお金を無心する妹に、なけなしのお金を渡す主人公。妹から逃げるように引っ越しを繰り返していた主人公は、家が知られてしまったことで、また次の引っ越しを考え始める。
しばらく経ったある日、ふたたび妹がお金の無心に部屋を訪れる。ドアチェーンを無理やり切断して部屋に入り込み、借金の返済にお金が必要だと詰め寄る妹。さらに、妹にお金を貸しているという男性も部屋に上がり込み、主人公につかみかかる。男性に頬を殴られ、放心状態の主人公は、押し入れから伸びた「手」をつかんでしまう。ルールを破ってしまった主人公に起きたこととは…。
不可思議な「手」との同居という奇妙な設定と、ラストへ向けての衝撃的な展開、そして含みを持たせたオチが話題を呼び、Twitterでは「面白すぎる…この後が気になるぅ!!」「続きが気になりまくる」など多くの感想が寄せられている。
作者が怪異としての「手」に込めた思いとは
ーー『手々』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
新しいジャンルに挑戦してみようと思ったのがきっかけです。その時、ちょうどホラー漫画の賞があったので、審査員さんに伊藤潤二先生がいたので見てもらいたいなって思い投稿しました。
ーー『手々』を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
こだわった所は、手を性的に見せないことです。私は友情や恋愛よりも深い関係というのがあると思っています。多分家族に近いんでしょう。同居人の手はまさにそれだろうと思います。手の表現で性的に見える手と見えない手というのを考えまして、同居人の手は例え誰かにそういう感情があると見られたとしても、彼は違うんだと言い切れるように描きました。あくまで私の中で、です。手に対しての印象みたいなのを感じながら読んでほしいです。
ーー『手々』の中で特に気に入っているシーンがあればお教えください。
絞るのが難しいのですが、しいて選ぶなら、手が寝ている主人公に触れようとしたシーンです。奥に天井があって手前に手があるのが、昔テレビを見ている親の膝枕から見た景色を思い出す感じがします(個人の感想です)。同居人である手の気持ちがたくさん詰まってる時間(シーン)だったと思います。
ーー『手々』や『たま子ちゃんとぬしさま』など、心霊や神様が登場する作品を描いていらっしゃいますが、理由があればお教えください。
シンプルに人外(人ではない異形)が好きというのが一番大きいんですけど、心の小さいことを言いますと、救われたいからです。自分じゃどうにもできないほど大きな悩みから助けてくれるのが、“人間じゃない何か”っていうのが、なんか救われるなぁと考えています。
ーー今後の展望や目標をお教えください。
漫画家(と名乗れるよう)になることです。自分でストーリーを考えるのが好きなので、漫画でお金を稼いで生活できるようになりたいです。あと自分の作品でアニメ化もしたいです。音楽を聴きながら自分の作品のMVとかを考えるのが昔からの癖です。楽しいです。自己主張強くて申し訳ございません。
ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
遅筆で申し訳ない限りです。次の作品が完成するまで今ある作品達を読んでお待ちいただけますと幸いです。今後とも、あたたかい目で私と作品共々よろしくお願いいたします。