7月28日、映画『異動辞令は音楽隊!』の完成披露試写会が都内で行われ、阿部寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、見上愛、内田英治監督が登壇した。
阿部寛、ドラムに挑戦“地道な練習を重ねた結果、一つ壁を越えた”
阿部はオファーを受けた時のことを振り返り、「楽器と聞いただけで、断ろうかと思いました」と明かした。「でも、『ミッドナイトスワン』を撮られた内田監督が次に何をやるんだろう?と思いましたし、(役の)成瀬にとっても楽器は挑戦だから、自分も一緒に挑戦していけばいいかなと思いました」と出演を決めた理由も語った。
成瀬の担当は“ドラム”「全くやったことがなくて3ヶ月ぐらい練習しました。最初は数が多くて、どれを叩いたらいいのかわからなくて。大きな音が出るので家では練習できないので、ゴムパッドを買ってきて、木魚を叩くような感じで練習しました。それで1ヶ月半ぐらい経った頃にドラムを叩いてみたら、『すごくやりやすいな』って感じて、そこから一気に」と地道な練習を重ねた結果、一つ壁を越えたと話した。
清野は「もうカッコよかったです! こんな簡単な言葉で片付けてはいけないと思うんですけど、練習の時から拝見させていただいていたので、どんどんアップデートされていく阿部さんを見て、プロ根性を感じましたし、尊敬して、本当にかっこいいなって。素晴らしかったです!」と絶賛。高杉も「阿部さんの叩いている姿を生で見られただけで、この撮影に参加できてよかったなって思いました。マジでカッコよかったです!」と尊敬の眼差しで阿部を見つめた。阿部は「もう何も言えません!」と思わず笑顔がこぼれた。
成瀬の娘・法子を演じた見上はギター経験者で、劇中でギターとドラムで親子セッションをするシーンも登場する。MCから阿部のドラムについて聞かれると、「私が評価するのはおこがましいんですけど、始めたばかりの頃ってドラムを見るのに一生懸命になってしまうと思うんです。でも、阿部さんはアイコンタクトを取りながら、リズムをキープされていて、私も心が動く感じで撮影できました」とそのシーンを回顧。阿部も「あのシーン、すごく良かったんですよ。カメラワークも全てバッチリ決まって、嬉しかったです。アイコンタクトも意識してました(笑)」と達成感があった様子。「娘に反抗されるシーンがあるんですけど、本当にその一日は暗かったです」というエピソードからも親子役としての絆の深さを感じられた。
この作品は「ニューヨーク・アジアン映画祭」でワールドプレミア上映され、阿部は「スター・アジア賞」を日本人で初めて受賞した。内田監督と一緒にニューヨークを訪れた時の写真もスクリーンで公開された。最後は、「ニューヨークに行かせてもらって、ほとんどの人がマスクをしていないことにビックリしましたし、早く日本もこうなればいいなと思いました。今日、皆さんに来ていただきましたが、お顔が見たいな、笑顔が見たいなと思います。今はまだマスクの下かもしれませんが、泣いたり笑ったり、いろんなことを感じていただければと思います」とメッセージを送り、イベントを締めくくった。
◆取材・文=田中隆信