好きな漫画家は矢沢あい、作風は『ドラえもん』や昔のギャグ漫画からの影響
『正反対な君と僕』には早くもSNSで「令和版『君に届け』」という評もみられる。「その声本当に上がってます…?おそれ多いんですが…」と恐縮する阿賀沢氏に、影響を受けた漫画について聞いた。
「少女漫画だと矢沢あい先生(代表作に『NANA』『天使なんかじゃない』『ご近所物語』など)が好きです。でも自分が描く際には、子供の頃に図書館で読んでいた漫画の影響が強いなと思います。『ドラえもん』の効果音の描き文字がめちゃめちゃかわいくて。昔のギャグ漫画のデフォルメされたキャラクターなんかも。ちょっとレトロな、いわゆる漫画的表現、漫画記号をあえて使いたい。それで時々『見せ場では女の子をもうちょっとちゃんと描いたほうがいいよ』と言われて反省したりしながら(笑)。
私はそんなに漫画に詳しいわけではなくて、有名な作品でも知らなかったりするし、どちらかというと一度好きになった作品を繰り返し読むタイプなんです。漫画以外の、映画や音楽でもそう。だから自分の漫画では平凡な学生を描いているのかもしれません」
阿賀沢氏が漫画家になったきっかけは、読者として漫画アプリを利用していたことだったという。
「元々とあるアプリで漫画を読むのが好きで、そこが自分で投稿もできたので、『冬の恋愛漫画』というテーマで作品の募集があったときに『氷の城壁』を描き始めました。それまで漫画はあまり描いてなかったんですが、縦読み形式ならコマ割りが苦手でも描けるなと思ったのがきっかけです。普通に働いていたので、出勤しながらたまに更新していたら、そのアプリはなくなってしまったけど、『LINEマンガ』の公式連載にしてもらえて。しばらく会社員との兼業でやっていましたが、気づいたら漫画家になってました」
『正反対な君と僕』の連載はまだ始まったばかり。最後に、これから作品で描いていきたいことを尋ねた。
「読んでいてほっこりするというか、温かい気持ちになってもらえる作品を描けたらいいなと思います。作品を読んで幸せになってもらえたら…それはちょっとおこがましいか(笑)。あんまり壮大なメッセージを伝えたい!というよりは、読んだ人がちょっといい気分になれる漫画を描きたいです」