集英社の漫画誌アプリ 「少年ジャンプ＋」で連載中の『正反対な君と僕』(隔週月曜日更新)。つい周りの空気を読んでしまう派手系女子・鈴木と、まじめで物静かだが自分の意見を持っている地味系男子・谷の恋愛を描くラブコメ作品だ。「ジャンプ＋」での読み切りから始まり、Twitterでは1.8万いいねもの支持を集め連載開始、7月4日に発売されたコミックス1巻は即重版となった。「ザテレビジョンマンガ部」では今回、作者の阿賀沢紅茶氏にインタビューを行い、生き生きとしたキャラクター造形や共感を呼ぶストーリーの描き方について聞いた。「人間関係に『正解』はない」と語る阿賀沢氏が、物語を紡ぐ際に意識している点とは。
『正反対な君と僕』あらすじ
クラスの中心グループのメンバーで、明るく友達が多いが場の空気を読んで合わせてしまいがちな女子・鈴木は、実は隣の席の物静かなメガネ男子・谷のことが好き。自分の意見をしっかり持っていて、人によって態度を変えない谷に憧れながらも、周りの目を気にしてなかなか普通に話しかけられない。そんなある日、偶然谷と一緒に下校することになり、手も繋いでしまうが、翌日学校でクラスメイトから2人の関係を尋ねられ…。鈴木と谷の恋愛を応援せずにはいられない、等身大な共感にあふれるラブコメ。
連載開始後、読者からの反響の多さに驚き
読み切り作品から話題になり、「ジャンプ＋」での連載が更新されるたびにSNSで盛り上がりを見せる本作。早くも著名人にもファンが多い。この反響は想定内だったのだろうか。
「読み切りが掲載される前は、ラブコメといっても女子視点で少女漫画に近いので、『ジャンプ＋』のメインターゲットとは違う作品だと思っていて、担当さんとも『好きな人がいれば嬉しいなあ』と話していたんです。掲載されてみたらコメントが思ったよりすごく多くて、『えっ？』って、めちゃめちゃびっくりしました」
フィクションの一般的な造形でいえば、どちらかというと派手で元気なキャラクターが自分の意見をはっきり持っていて、おとなしく控えめなキャラクターが場の空気を読んでしまう、という方がよくありそうだ。しかし鈴木と谷はそれと真逆ながら、それぞれの描き方に説得力を感じる。2人のコンセプトはどのように作られたのか。
「『クラスで目立たない人が、輪の中心にいるような目立つ人からなぜか好かれる』という場合、好かれる側視点の漫画は結構あるなと思って、好きになる側視点の漫画も読みたいなと思ったのがきっかけです。そこから、派手に見える人がおとなしい人を好きになるときってどういう理由だろう、ということを考えていきました」
前作は「LINEマンガ」でwebtoon『氷の城壁』を連載していた阿賀沢氏。「ジャンプ＋」での連載となり、今まで以上に幅広いユーザーを意識して作風を変えた点はあるのだろうか。
「『ジャンプ＋』の読者さん的に、ラブコメに重たさは求めてないだろうなと思ったので ふわっと明るい読み味にしたいと思っています。マイナスな感情を描いても、暗くなりすぎないように。前作はけっこう負の感情を描いていたので。あと、『氷の城壁』は縦読み作品で、会話に間を取りたいときは単にコマを離せばよかったんですが、横読みだとページ内にパズルのようにおさめないといけなくて、試行錯誤しています。『コマ割りって難しい…』と毎回思ってます」
